第15話

「わ、分かった!!するよ!!するからっ!!!」






必死になってそう叫ぶと、神崎くんは意地悪く笑って、スマホの画面を見せつけてきた。



スマホの画面をよく見ると、ロック画面のままで佐伯くんに連絡した様子はなくて。




ああ、やられたと思った。



この人、本当に性格悪すぎるんだけど!!








「ほら、してくれるんでしょ、キス。」






そう言うと神崎くんは、私の目線に合わせて腰を屈めた。



近くで目が合って、少しドキッとした。





長い睫毛で、肌も綺麗で。



女の子の私よりも、女の子みたいな顔してるじゃん。



ちょっと、むかつくよね。







「・・・目、閉じてよ。しにくい。」






一瞬、面倒くさそうな顔をしたけれど、神崎くんは静かに目を閉じた。







ゆっくりゆっくり彼の顔に自分の顔を近づける。



シトラスの香りで、少し頭がくらむ。





キスなんて、今までしたことないし、やり方なんて分かんない。




神崎くんはモテるし、キスの1つや2つ容易いのかもしれないけれど、私は違う。






ファーストキスくらい、好きな人としたいよ。




なのに、こんな脅迫された状況で、キスなんて。






そっちがその気なら、私にだって考えがあるんだから。






ぐいっとゆるく結ばれた彼のネクタイを引っ張る。






そして私はキスをした。

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