第14話

「俺の言う事聞いてくれたら、黙っててあげるよ。」






どうしよう。



きっとろくな事じゃない。




奴隷になれとかかな。





お昼ご飯とか購買でパンとジュース買って来いとか。



鞄持てとか。





でも、ここは分かったって言っておかないと、佐伯くんにバラされるかもしれないし。



バラされたら、私のこの恋は終わってしまう。






よし、覚悟を決めよう。








「・・・分かったよ。」







そう言うと、ふっと笑った神崎くんは、ドアに付いていた手を離した。




圧迫された空気が少し緩んで、ホッとする。




肩にかけていた鞄の紐をぎゅっと握りしめる。





「何、すればいいの?」



「キス、してよ。」



「・・・え?」







キスって、あのキス?


口と口をくっつける、あれですか!?





え、てか神崎くん何言ってんの?




キスの意味は分かるけど、キスしろって言う神崎くんの気持ちが全然分からない。






「しないなら、俺バラすよ。」



「なっ・・・!」






ちょっと。



これ、完全に脅迫じゃん!!!!




神崎くん、実はすっごく性格悪いんだね。



なんかガッカリだよ。


別に仲良くしたいと思ったことないけど!!






「キ、キスなんて、出来るわけないよ。」



「ふーん。じゃあ、今から佐伯に電話して全部言うよ。」






そう言って神崎くんは持っていたスマホで、佐伯くんの番号を弾き出して電話をかけ出した。





「え?あ、ちょっと待ってよ!!」





手を伸ばしてスマホを奪おうとするけれど、届かなくて少しむっとする。



無駄に高い背しやがって!!!







「あ、もしもし?佐伯?」





ええーー!!


本当に佐伯くんに電話したの!?



本当に、ヤバイって!!!

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