第13話

「あ、あの、神崎くん?」







背が高いせいで、見上げないと神崎くんの顔が見えない。




何一つ表情を変えずに、私を見る神崎くん。




間近で見ると神崎くんもやっぱりかっこいい人なんだなと、思う。







「落合さんって、佐伯の事好きだよね。」




「え?」






まあ、そりゃバレるよね。


佐伯くんの席に座ってる所を目撃したんだから。








「でもさ、好きだからって佐伯の席に座ってたって事バレたらまずくない?」






神崎くんは唇の端を少し上げて笑う。


私はじっと彼を見ることしかできない。







「俺さ、結構口軽いんだよね。」








急に怖くなって、手が震えた。



そんな事、佐伯くんに知られたら、絶対幻滅される。



友達としてすら、一緒にいられなくなってしまう。






それだけは、やだよ。








「・・・い、言わないで。」







声が震える。


上手く言葉に出せたのか、自分でも分からない。



神崎くんってこんな人だったの?



今目の前にいる人は、いつもの無愛想な神崎くんじゃなくて、人を見下して嘲笑う悪魔のような顔をしている。




こんな神崎くん、初めて見た。



これが彼の本性なの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る