第11話

バレンタインは来週の金曜日。




ちょうど、今から一週間後。







土日にチョコ買いに行かなきゃなぁ。




この時期、どこもかしこもチョコの匂いがして、あんまり出かけたくないんだけど、今年は我慢しなきゃだね。




どんなチョコなら食べてくれるかな。





そもそも佐伯くんって、甘いもの好きだっけ?






ああ、私、佐伯くんのこと、よく考えたらそんなに知らない。




私だって、今日佐伯くんに告白してきた女の子と同じで、何にも知らないんだよね。



同じクラスでたまに喋るってだけで、すごく親しいっていうわけではないし。



年明けの席替えで、たまたま席が前後で近くなったから、今までよりかは喋るきっかけが増えただけで、席が離れてた頃は、喋らない日もあったしね。




佐伯くんは私は俺の事知ってくれてるって言っていたけれと、それは間違いだね。



私は佐伯くんと付き合う資格なんて、最初からないんだよ。





はぁとため息が漏れる。




進展なんて求めてはいないけれど、やっぱり心のどこかで、付き合いたいとか思ってしまっている自分がいる。




何だか、嫌だな。




そんな感情、なくなれば良い。






佐伯くんと私はずっと友達のまま。




むしろ友達とも思われてなかったりして。






あーやめよ。



こんなネガティブな事考えてたら、頭がおかしくなりそうだわ。








「・・・帰ろ。」








小さく呟いて突っ伏した体を起こす。






立ち上がろうとしたその時だった。






廊下をパタパタと走ってくる音が聞こえて、ガラリと教室のドアが勢いよく開いた。

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