キス

第9話

「じゃあ愛菜!また月曜ねー!」



「うん。バイバイ!」





放課後、香織は隣のクラスの彼氏と仲良く帰って行った。



1週間くらい前に出来た彼氏。




告白されたから、とりあえず付き合ってみた!って突然言われて、凄く驚いた。


ほんとモテる人は考え方が全然違うなとつくづく思う。


とりあえずで付き合えるなんて、私は考えられないよ。





私は特に予定もなかったから、のんびりと鞄に教科書をしまう。



気がついたら誰もいなくなっていて、静かな教室に1人ポツンと取り残されていた。




誰もいない教室って、こんなに静かなんだね。



しんと静まり返った教室を見渡す。



ふいに佐伯くんの席を見つめた。





いつも、ここに座って授業受けてるんだよね。


まあ、当たり前なんだけど。





そっと佐伯くんの机に近づいて、手を触れる。





本当に、好きだなぁ。




こんなに男の子を好きだって思ったはことなかった。




私はあんまり男の子と連むのは好きじゃなくて、友達はほとんど女の子ばかり。


私とは違って、みんな可愛くてオシャレで、甘い物も可愛いものも大好きで、女の子って感じの子が多い。



女の子の中にいれば、私もちょっとは影響されて女の子らしくなるかなって思ったけど、人生そう簡単にはいかないのが現実。




結局、甘い物も可愛い物も好きにはなれなかったし、女の子らしくなんて全然無理だった。



もう最近は諦めて、友達と一緒に普通に過ごす事が出来れば良いやって思ってきた。



この高校生活も香織と一緒で凄く楽しいし、私的には満足してる。





まあ、唯一予想外だったのは佐伯くんに恋してしまったことだね。


恋なんて、絶対する事ないと思ってたし。

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