第8話

うーんと腕を組みながら考える佐伯くん。





「ほ、ほら!!困ってるじゃん!香織、変な事を佐伯くんに聞いちゃダメだってば。」





そう言いながらも、少し答えが気になる私。



ああ、もう、答えがどっちだったとしても、泣きそうだよ。






「まあ、落合さんなら俺の事をよく知ってくれてるし、付き合うかもね。」




佐伯くんはにっこりと微笑みながら、私の頭をポンポンと撫でる。



うわ。



ヤバイヤバイヤバイ。



触れられた頭が熱い。



もう、この人はいつもこんな風に簡単に私に触れてくる。


私は佐伯くんに触れられる度に、心臓が飛び出そうになっているっていうのに。






「きゃーー!!じゃあ、愛菜と付き合いなよー!2人お似合いだって!」



「もう香織、ほんとやめて。」





全力で香織の口を両手で封じる。



ジタバタと暴れる香織の隣で、あははと楽しそうに笑う彼。




全く。



人の気も知らないで、よくそんなに笑えるよね。




私の気持ちを知ったら、佐伯くんはきっと離れていく。



なんとなく、そんな気がするんだ。






だから、私は絶対に佐伯くんに告白はしない。





でも、バレンタインのチョコくらいは、あげても良いよね?




だって、好きな男の子に女の子からチョコをプレゼントする、特別な日なんだから。





その日くらいは、女の子らしくない私でも、女の子になりたいよ。

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