第7話

「香織、神崎くんの肩、叩きすぎだから。」



「え?あ!ごめーん!痛かった?」



「いや、別に。」





あははと笑いながら、また神崎くんの肩を殴る香織を見てため息が出る。



ほんと神崎くんごめんね、と心の中でとりあえず謝っておいた。






ふいにドアの方を見ると、ちょうど佐伯くんが帰って来ていた。



ドア近くで昼食を一緒に食べていた友達に絡まれている。



きっと、告白のことを聞かれているんだろうなぁ。




佐伯くんに今まで告白した女子は沢山いるけれど、どの子も断られてた。



今まで告白をオッケーした人はいなくて、噂では他校に彼女がいるんじゃないかとかって言われている。




まあ、もし彼女がいたとしても、私は告白なんてするつもりはないから関係ないけどね。



私は、学校で佐伯くんに会えたり、話が出来るだけで十分だから。







「ただいまー。」



「あ!佐伯くん、おかえり!ねぇ、あれって告白だったんでしょー?どうだったの?」






私たちがいる所に戻ってきた佐伯くんは、自分の席に香織が座っていたからか、窓際の方にもたれた。




窓から差し込む光が、佐伯くんを包んでキラキラしている。


キラキラしすぎて、もはや神様に見えてくるよ。


ほんと、かっこいい。







「んー、断ったよ。」



「えー、何で何でー??」



「俺、あの子と喋ったりしたことないし、好きって言われてもね。俺があの子の事を知らないように、あの子も俺の事なんて何も知らないでしょ。」






それは、そうだね。



きっと佐伯くんに告白してくる女子は、佐伯くんの見た目が好きとか、かっこいい人を彼氏にしたいとか、そういう理由の子が多いと思う。



中身なんて全然知らないのに、好きって言われても信用できないし困るよね。







「ほんと佐伯くんって真面目だよねー!そんなん付き合ってみたら変わるかもしれないじゃん!」







香織ってば、私が佐伯くんのこと好きだって知ってるくせに、とんでもないこと言うよね。


まあ、私は佐伯くんと付き合いたいとか、そんな贅沢なことは言わないけど。






「そーかな?まあ、俺のことよく知ってる子に告白されたら、考えるかもね。」



「ほんとにー??じゃーさ、もし愛菜に告白されたら付き合う?」



「え、ちょっ!!!香織、何言ってんの!?」






もう、ほんと香織ってば、余計なこと言わないでよ!!!


答えによっては、私、失恋するじゃん!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る