第6話

神崎くんは無表情のまま、香織と会話している。



正直、あの神崎くんが私と香織の会話に入ってくるとは思わなかった。




神崎くんって、自分からあんまり話さないし、何考えてるかよくわからなくて。



佐伯くんとは喋るところ見かけるけれど、いつも話しかけるのは佐伯くんからで、神崎くんは話をただ聞いてるだけって感じだったし。





それに私は、彼が苦手。



サッカー部のエースで、放課後はいつもグランドで練習をしている神崎くん。


明るめの茶髪で、夕日に照らされると黄金に輝く綺麗な髪色。


佐伯くんとは違って少し癖っ毛で、毛先がクルンとしている。


背は佐伯くんと同じくらい。


いつもむすっとしていて、話しかけづらいんだよね。


笑ったところとか、一回も見た事ないし。




それに見た目もちょっと派手っていうか。



佐伯くんはちゃんと制服着ているのに対して、神崎くんはブレザーの下にパーカーを着ていて、ボタンはいつも全部開けてあるし、ネクタイも緩めに結んでいる。



制服っていうより、もはや私服に近いなと思う。



でも、神崎くんも佐伯くんと同じくらいモテるんだよね。



確かにかっこいい方ではあるんだけど、無口だし、女子と喋ってる所とかあんまり見た事ないし。


だから私はどうして神崎くんがモテるのか、いまいちよく分からない。



ただ、彼の付けているシトラスの香水の香りは、嫌いじゃないけれど。








「でも神崎くんが佐伯くんと同じ中学だったなんて、すっごく意外だよねー!もっと早く言ってよー!」






バシバシと香織に肩を叩かれる神崎くん。



ああ、そんなことしたらさすがに機嫌悪くなっちゃうよ。



案の定、神崎くんはすっごく面倒臭さそうな顔をしながら、香織の話をひたすら聞かされている。



だけど、ものすごい勢いで肩を殴られていても、文句は言わない。



ちょっとくらい、やめろよ!って言ってもいいレベルだと思うけど、そんなこと言わずに黙っている所をみると、私が思っているよりも優しい人なのかも。

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