第4話
「愛菜ってほんと佐伯くんの事になると、すぐ顔赤くなるよね!」
「もう、うるさいなぁ。」
「ところで来週バレンタインだけど、どうするの??」
ああ、バレンタインか。
そういえば、2月に入っていたなとぼんやり思う。
バレンタインデーなんて本当にくだらないイベントだよね。
街中が甘いチョコの香りでいっぱいになる。
私、甘いもの好きじゃないし、チョコの匂いも嫌い。
だから、バレンタインなんて毎年地獄で、大嫌いなイベントだけど、今年は・・・。
「・・・チョコ、あげよう、かな。」
「え!!マジで!?ほんとに?!」
突然叫んだ香織にクラスのみんなが驚いて、一斉に私たちを見つめた。
ドアの近くで男友達と一緒に昼食を食べていた佐伯くんもこっちを見てるし。
「ちょっと、声大きいってば。」
「あ、ごめんごめん。だってあんなにバレンタインなんて興味ないって言ってたのに、今年はあげようかなとか言うから。」
確かに興味はないけど。
それは今まで好きな人なんていたことなかったからで。
今年は好きな人もいるし、ね。
「何の話?」
後ろから聞こえてきた声に、ドキンと心臓が波打つ。
私の前の自分の席に座って、体をこっちに向けて笑う佐伯くん。
「女子トークしてたんだよね?愛菜!」
「え?あ、うん。」
「えー気になる。教えてよ。」
「ダメダメー!佐伯くんには教えないよ!」
椅子の背もたれに置かれた腕に顎を乗せながら、少し拗ねる佐伯くん。
そんな顔もかっこいいと思ってしまう私は、重症だね。
佐伯くんは見た目はクールなんだけど、喋ってみると案外喋りやすい人で、私や香織にも普通に話しかけてくれる。
誰とでも変わらない態度で接してくれるし、気がきくし、本当に素敵な人なんだよね。
ああ、ダメだ。
好きすぎて、恥ずかしくて、まともに佐伯くんの顔見れないや。
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