第3話

それに比べて私は真っ黒なショートボブで、甘い食べ物は大嫌いだし、可愛い物とかにも興味はない。



私は、香織と違って全然女の子らしくないんだよね。






「愛菜はどうして佐伯くんが好きなの?確かにイケメンではあるけどねー!」



「それは・・・。」






それは、高校入学してすぐのこと。



もともと女の子らしくない私は、中学の時からあんまり女の子扱いってされなかったんだけど、佐伯くんは違ってた。



香織とはぐれちゃって校内を彷徨ってたら、たまたま佐伯くんと会って「どうしたの?」って優しく声をかけてくれたんだよね。



ちょっと泣きそうだったから、あの時佐伯くんが声をかけてくれて凄く助かった。



教室が分からなくなったことを伝えたら、一緒に教室まで付き合ってくれて。



今まで男子に優しく声なんてかけてもらったことなかったから、なんだか不思議な感覚だった。



教室に着くと香織が心配そうな顔で待ってて、再会できた私と香織を見て佐伯くんは笑顔で良かったねって言ってくれた。



ポンポンと軽く頭を撫でられて、ドクンと心臓が飛び跳ねた。




「落合さん、泣きそうな顔してたし、女の子助けるのは男の役目でしょ?」




そう言って佐伯くんは男子たちが集まるところに行ってしまった。



泣きそうになってたこと気づいてくれていて、しかも私のことをちゃんと女の子だって言ってくれたことが何よりも嬉しかった。





恋するきっかけなんて些細なこと。



触れられた頭がすごく熱くて、一瞬で佐伯くんを好きになってしまったんだよね。







「何、顔赤くなってんの?」




香織にそう言われてとっさに両手で顔を隠す。




思い出しただけで赤くなるなんて、私やばいね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る