好きな人

第2話

私には、好きな人がいる。




それは、同じクラスの佐伯くん。



前から2列目の窓際に座る彼は、私の目の前の席で授業中はどうしても彼の背中を見てしまう。




見えるのはいつも後ろ姿だけど、それでも授業中に佐伯くんを見ると、胸がキュンとしてしまう。





佐伯くんはサラサラの黒い髪に黒縁の眼鏡をかけていて、背もすごく高い。


ブレザーの制服は着崩したりはせずにきっちり着ていて、とても真面目な人。


成績もいつも上位で頭も良いし、運動も出来る。


何気に女子にモテてるし、告白なんかもよくされている。







「愛菜(マナ)〜。授業中、まーた佐伯くんのこと見てたでしょ?」





昼休み、私の隣でニヤニヤと笑いながらそう言ってきたのは、友達の香織(カオリ)。



香織とは小学校からの友達。


高校生になった今でも、仲良し。






「だって、好きなんだもん。そりゃ見るよ。」



「あはは!開き直ってるし!」






あたしは食べ終わったお弁当箱をしまって、みかんを取り出した。



皮をむいて口に放り込む。


甘酸っぱい柑橘の味が口いっぱいにひろがる。




柑橘系は好き。



甘ったるくないし、さっぱりした甘さだから。





みかんを頬張っていると、隣から甘い匂いがして香織を見た。


バカでかいチョコチップのメロンパンをむしゃむしゃとかじっている。





「お弁当もあるのに、よくそんなもの食べられるよね。」



「えーメロンパンおいしいじゃーん!別腹だよ、別腹!特にチョコチップのはね!」






私は、甘いものは嫌い。



卵焼きも砂糖は一切入れない、塩だけ。


前に香織の作った卵焼きを食べて吐きそうになったことがある。


極度の甘党の香織が作った卵焼きは砂糖たっぷりで、それはもうありえないくらい甘くて。



よくこんなに甘いものが食べれるよなと思う。






香織は昔からよく男子にモテていた。



少しパーマがかった長い髪の毛は地毛で、色も少し明るめの茶色。



染めてないしパーマもあててない純粋な髪の毛なんだけど、先生や友達によく「染めてるの?」とか「パーマ当ててるの?」って聞かれていて。


その度に否定しているけど、あんまり信じてもらえてないみたい。



目も大きくて、ほぼすっぴんに近いナチュラルメイクだけど可愛くて、本当に羨ましく思う。

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