第16話

「じゃあ目標書けたクラスから帰って良いですよー。」







先生がそう言うと、みんな次々と席を立って帰って行く。





「一宮くん、目標これで良い?」



「あ、うん。良いよ。」



「じゃ私帰るね。」






安城さんは立ち上がると、何故か私を1回睨んで、帰って行った。



私、あの人に何かしたっけ?


そもそも初対面だよね?


安城って名前初めて聞いたし。






「ごめんね、春日井さん。あの子、普段あんなこと言わないんだけど、気にしなくていいから。」





何故一宮くんが謝るのかかなり謎だけど、別に私気にしてないし。



ロボットって言われて、本当に自分でもそう思うしね。






「春日さん、全然ロボットじゃないのになー。」



「たまに思ったことを口に出しちゃう子なんだよ。でも、悪い子じゃないんだよ。」






ふいに教室のドアの方を見ると、楽しそうに友達と話す安城さんの姿が見えた。




思ったことを口に出しても、あんな風に明るくいられるのは、ごく一部の人だけ。




好かれる人は好かれるし、嫌われる人は嫌われるんだ。




私のようにね。







一宮くんの言う通り、安城さんはきっといい子なんだと思うよ。



じゃなきゃ、友達とあんなに楽しく笑えないよ。







「あ、春日さん!明日グループ決めだけど、俺と一緒のグループになろうよ!!!」



「コタロウと一緒だと疲れそうだな。」



「何でだよ!!きっと楽しいよー!!」






同じグループだけは避けたい。



それだけは、嫌だ。






こんなバカ犬と一緒なんて、確実に疲れる。






私は2人を無視して立ち上がり、教室を出た。







今日は本当に災難だった。





あのバカ犬。





厄介だな。







私の感情を見抜いてくる。




ロボットの私の感情を。






なるべく関わらないようにしなければ。

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