第15話

「さすが春日井さんだね。良い目標なんじゃない?」






一宮くんはにっこりと微笑んだ。




そんな良い目標じゃないよ。



ただこの民族博物館、昔行ったことがあるから、その時あったものを適当に目標にぶっ込んだだけ。



別に大した目標でもない。






「俺難しいことわかんないけど、春日さんが考えた目標なら俺頑張るー!!」






あーそう。



1人で頑張って下さいよ。




どうせみんな、目標なんて気にせず遊ぶだけなんだから。


目標なんて、あってもなくても同じだよね。







「春日井さんってさ、ロボットみたいだよね。」






突然聞こえてきた声。



一宮くんの隣から聞こえてきたような気がしたけれど、気のせいだった?






「安城さん、そんな言い方良くないと思うけど。」






一宮くんが少し呆れたように、隣に座る女の子に話しかける。


安城さんと呼ばれたその子は、チラリと横目で私を見た。





「だって、全然感情が顔に出ないし、全く喋らないし。むしろロボットよりも性能悪いんじゃない?」






結構はっきり物を言う人ですね。



でもそれは間違っていない。


私はそういう風に生きてきたんだから。



誰にも感情を見せないように、誰とも口をきかないように。



ロボットと言われて、否定するところは全然ないね。


私はロボットだよ。



なんの感情もない、ただのロボット。







「え、春日さん、結構顔に出るタイプだと思うよ!」






その言葉に犬山くんを凝視する。




この人はまた変なことを!!



余計なこと言わないでよ。






「さっきも名前をわざと間違えて呼んでるの分かった瞬間、めっちゃ怒ってたもんねー!」






怒ってない!!


いや、怒ってたけど顔は確実に怒ってなかったはず!!




何故かこのバカ犬にはあっさりバレたけど。







「そうなの?春日井さん。」






一宮くんも、この話は終わりにしてよ。



このバカ犬の話なんか無視しなさいよ。

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