第14話

「はい、春日井さん。」





バカ犬を見ていると、一宮くんがプリントを回してきた。



手を伸ばして無言で受け取ろうとすると、犬山くんに横から奪われた。






「春日さん、目標どーしよっか?あ!!みんなと友達になるー!とかどう??」






ああ、頭が痛い。




こいつの頭は小学生か。





高校生にもなって、そんな目標立てるだなんてバカすぎる。






「おいおい、コタロウ。それじゃ小学生だろー。もっと高校生らしい目標立てろよ。」



「えーいいじゃん!!俺クラスのみんなと友達になりたいんだもーん!」





あんた、これ以上友達増やしてどうすんのよ。



そんなに友達増やして何が楽しいんだか。




どうせその中に本当の友達なんていないくせに。








私たち2年が行く民族博物館って確か世界各地の民俗資料を展示している屋内の展示室と、世界の家が立ち並ぶ野外展示場がある所だったよね。


その国の食べ物とか食べれたり、民族衣装着れたりも出来るんだっけ?


1日で世界一周が出来るっていうキャッチフレーズでCMしていたような気がする。


確かその民族博物館の別名は『小さな世界』。





そんな所に高校生が行って楽しいのかな。






私は犬山くんからプリントを奪い取って、適当に目標を記入していく。




書き終えた後、犬山くんに突きつけるようにプリントを無言で見せつける。





「えーっと、世界の家屋を見学し、人々がどのように生活し暮らしているのか理解した上で、その国の伝統や文化を知ること?」




首を傾げながら私が書いた目標を棒読みするバカ犬。






「ここって世界の家があるんだ!!!俺行ったことないから知らなかったよ!」





まずはそこからですか。


来週行く場所がどんな場所かすら知らないなんて。


この辺に住んでて知らないとか本当にバカだ。






私は彼の手から再びプリントを奪い取る。





あんたはそのまま友達作りに専念してればいいよ。







もう本当にこのバカ犬といると疲れる。





さっさと校外学習なんか終わってしまえ!!!

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