第10話
教室に入ると別のクラスの学級委員の人達が、バラバラと席についていて、私は適当に空いてる席に座る。
席に座ると追いかけてきた犬山くんが教室に入って来た。
「コタロウが学級委員?それやばいね!」
「コタロウが出来るのー?」
「まあコタロウは何だかんだで真面目だもんね!」
彼が教室に入った途端、教室にいた人達が彼に話しかける。
犬山くんは楽しそうにニコニコと笑いながら、答えている。
私は机に頬杖を付いてその光景をぼんやりと眺めた。
本当は、分かってるんだ。
ああいう人は、人に好かれる。
嫌われたりはしない。
いつも笑顔で、誰とでも変わりなく話せて、飾らない人。
前向きで明るくて、人を楽しませることが出来る人。
そして、無意識にそれを出来る人。
犬山くんのような人は感情を表に出したとしても、人に好かれるんだ。
だから彼の周りには人が集まる。
みんな好きだから。
そういう人が。
私には到底無理だった。
そんなことは出来なかったから。
だからみんな私から離れて行った。
今の私は、感情を一切表に出さないことで、今の自分を保っている。
感情が表情に出ないようにすれば、人は近寄ってこない。
話しかけてくる人もいない。
だから、人と関わらなくて済むと思っていたのに。
なのに、あのバカ犬め。
どれだけ無視していても、懲りずに話しかけてきて、本当にしつこい男。
私なんかと関わったって、何も良いことないんだから。
お願いだから、話しかけて来ないでよ。
もう、嫌なんだよ。
私に関わることで誰かが傷付くのは。
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