第9話
私の隣にぴったりとくっついて、鼻歌を歌いながら歩くバカ犬。
犬山くんは私が教室を出ると、待ってよー!と言って勝手に付いてきた。
隣でぴょんぴょんとスキップしながら歩く彼に気付かれないようにちょっとずつ距離をとる。
ああ、面倒臭い。
私がこんなにも無視しているのに、このバカ犬はそんなことは関係ないと言った様子で、私に構おうとしてくる。
うざすぎる。
本当に、うざい。
「あ!コタロウどこ行くのー?」
「俺ねー学級委員になったんだよー!すごいでしょ!」
「あはは!コタロウが学級委員とかマジウケる!」
「コタロウ、この前貸した漫画早く返せよ。」
「ごめんごめん!明日持ってくるから!」
「コタロウじゃーん!ばいばーい!」
「うん!ばいばい!!あぁっ!!春日さん、待って!!」
そしてこいつ、かなり目立つ。
教室から学級委員会の集まりがある教室まで移動するだけで何人にも声をかけられている。
オトモダチがたくさんいるようで。
私とは全く真逆の生き物だ。
目立つずに地味に生きている私とは。
犬山くんの周りには常に人が集まる。
それはもう気持ち悪いぐらいに。
ただ廊下を歩くだけで、あんなに声をかけられるなんて、みんな本当に犬山くんをその辺の犬だと思ってるんじゃないかと思うよ。
「もー春日さん!!歩くの早いよー!」
別に一緒に行ってるわけじゃないし。
あなたが勝手に付いてきてるだけでしょ。
私は無視して1人でスタスタと歩いていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます