第8話
「え?何でコタロウ、そんなこと分かるの?あたしにはいつもの無表情な顔にしか見えないんだけど。」
そう言って豊田さんは眉間にシワを寄せながら、私の顔をマジマジと見つめる。
でも、分かんなーい!と首を傾げた。
「えー真紀ちゃん、分かんないの?春日さん、今めっちゃ怒った顔してんじゃん!!!」
何?
何だ、こいつ!!!
何で私が怒ってるってわかるの?!
誰にも私の感情なんてバレたことなかったのに。
私は犬山くんから目をそらして前を向く。
こいつは危ない。
関わっちゃいけない奴だ。
ああ、まだ新学期になったばっかりなのに。
来年の3月までこのバカ犬と同じクラス、同じ学級委員だなんて、地獄すぎる。
私のバカバカバカバカバカッ!!!!
どうして志望校落ちたのよ。
志望校はこの辺で1番の名門校だった。
ここに受かっていれば、こんな高校生活送ることはなかったのに。
でも、後悔しても仕方ない。
悪いのは全部私なんだから。
私の勉強不足のせい。
もっともっと勉強して、大学は、大学だけは良い大学に行かなきゃ。
「それよりコタロウ。この後カラオケ行こうよ!直輝も来るって言ってたよー。」
「行きたい行きたい!!行くー!」
「じゃあ、決まりねー!」
「あ!でも俺学級委員の集まりあるから遅れるよ!」
「真面目だねー。そんなのサボりなよ。」
豊田さん、よくも平気でそんなことが言えますね。
まあ、そういう人ですけどね。
でもこの犬男と一緒に委員会に出るくらいなら、1人の方がマシだ。
出来れば委員会なんてサボっちゃって、カラオケにでも何でも行けばいい。
「ダメだよ!学級委員は俺と春日さんなんだから、ちゃんと行かなきゃ!」
「まあ、そうだよねー!ほんとコタロウって見た目の割に真面目だよねー!じゃあ教室で待ってるから委員会の集まり終わったら一緒に行こうよ。」
「そう!俺真面目だから。オッケー!委員会終わったら速攻戻る!」
変なところに真面目にならなくてもいいし。
カラオケ行きたいんでしょ?
行けばいいじゃない。
委員会なんてサボったって、別に大したことないよ。
「春日さん!委員会、一緒に行こうね!」
またツンツンと私の髪の毛を引っ張ってくる。
本当に、やめてよ。
何で髪の毛引っ張ってくんの?
私に触らないでよね。
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