第7話

「よーし、委員会は全部決まったな。あ、学級委員の春日井と犬山はさっそくこの後、集まりがあるみたいだから、よろしくな!」




えぇ!?この後?



もう、本当に面倒臭い。



なるべく放課後はさっさと帰って勉強したいのに。







「先生!俺、学級委員頑張ります!!」



「犬山、気合十分だな!良いことだぞー!」








もう本当に勘弁してほしい。




どうしてこんなバカ犬を学級委員になんかにさせたの?




この学校は本当におかしいよ。



風紀委員だって、風紀委員として選んではいけないような人に決めちゃうし。







教室にチャイムが鳴り響く。



ホームルームの時間が終わって、みんなが一斉に帰る準備をする。



私も同じように帰る準備をしていると、後ろから髪の毛をツンツンと引っ張られた。





振り返らなくても、後ろに誰がいるか分かっているから、そのまま無視をする。






「春日さん、無視しすぎー。俺悲しい。泣いちゃう。」






知らんわ。


どんだけ構ってちゃんな犬なんだ。



私は犬は嫌いだよ。




どっちかっていうと、猫派ですから。






ノートを数冊まとめてトントンと机に当てて揃える。






「かすが、い・・・、ん?春日井?え?春日井?」





何をごちゃごちゃと言っているのよ。


私のノートの名前でも見ているの?



ああ、やっと私の名前が春日じゃなくて春日井って気付いたか、バカ犬。







「ねぇ、春日さん、下の名前なんて読むの?」







春日と言われて、カチンときて勢いよく振り返る。




勢いよく振り返ったせいで、遠心力で返ってきた自分の髪の毛がパシッと頬に当たってちょっと痛かった。




けれど表情を変えずに、犬山くんを真顔で見つめる。



犬山くんは私がいきなり振り返ったからか、少し驚いた顔をしている。






何だろう。



私この男、嫌い。



やたら声かけてくるし、しつこいし。



それに私のこと、春日井って分かってて春日って呼んでるし!!!




だいたい、私の下の名前聞いてどうすんのよ。



教えるわけないでしょ。




そもそもなぜ読めない?


確かに色々な読み方あるかもしれないけれど。






「コタロウ、また春日井さんに絡んでんの?無駄だって言ってるでしょ。春日井さんっていつも無表情だし、何考えてるかわかんないよねー。」



「え?そうなの?でも春日さん、今めっちゃ怒った顔してるよ!」






犬山くんにそう言われて、かなり焦った。


思わず顔に出てしまいそうになった所を、必死で閉じ込める。




学校では絶対に感情を表に出さないようにしていたのに。





何故か犬山くんに怒っていること、バレた。





何で??

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