第3話
「それでは、委員会を決めていくぞー。まず、学級委員を決める。誰かしたい人いるかー?」
クラス担任の名古屋先生が話しているのに、サル小屋のサルどもは全く話を聞いていない。
先生も先生だ。
何故注意しないんだろうか。
こんな状態で、クラス委員が決まるわけがない。
「せんせー、春日井さんがやりたいって言ってますー。」
突然、自分の苗字を言われて、先生とガッチリ目が合う。
「おー、春日井やってくれるのか?」
「春日井さん、1年の時も学級委員だったもんねー!しかも委員長!やばいね!」
何がやばいんだ。
私の目の前に座り、爪を研ぎながらイラっとくるような口調で言うこの女は、豊田 真紀。
こいつは1年の時も同じクラスだった女。
面倒臭いことは全て他人に押し付けて、自分ではやろうとはしない、なんとも自己中なメスザル。
確か去年もこいつのせいで、私は学級委員をやったんだ。
こんな風に勝手に名前を言われて。
そう簡単に何度も何度も同じ手を食らってたまるか。
今年は学級委員なんて絶対しない。
そんなことしている暇があったら、勉強しなきゃ。
「先生、私、やりませ、」
「春日さんやるなら、俺もするー!」
声とともにガタンと椅子から立ち上がる音が聞こえて、思わず振り返る。
私の言葉を遮り、後ろで右手を高々と上げる男。
な、何だ?!
だいたい、私は春日じゃなくて、春日井なんだけど。
それに、私がするならやるって何?
このオスザルは何を言っているんだろう。
「おっ!犬山やってくれるのか!自分から立候補するなんて、すごいじゃないか!」
「えーーーー!コタロウがやるなら、あたしやれば良かったー!」
これは一体、どうなっているのですか?
豊田さん、学級委員やりたいならどうぞ、代わってあげますよ。
それよりも、今だに後ろで高々と右手を上げているあのオスザル。
名前は確か、犬山幸太郎。
私の真後ろの席である。
みんなにコタロウと呼ばれていて、オスザルっていうよりも犬っぽい男。
名前も犬山だし。
コタロウって犬っぽいし。
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