第2話 蝋石の詩


蝋石ろうせき

流れゆく

石なのに

流れゆく


蝋石

めよ んぞめよ

愛をなくしてもうた

なぜだ


なぜ愛はつかめぬ

ながれた汗は

ながれた血は

嘘ではなかったはず


蝋石

流れゆく

いま ごぽごぽと

水をつかみながら

自らに問うている


わたしの美しさは

なんのためだったのか


わたしの美しさは

幻だったのか


わたしはいのちよりも

この美しさをえらんだのに


何千万年染めあげた

この美しさは

いま

ただ水に

ながれゆく


蝋石

ながれゆく


夢みていたのは

瑪瑙めのうのひかり

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