第3話 チートスキル初お披露目の掟

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何日か後 王宮


「王様、成功です。

無事に主人公が自分のチートスキルの存在に気が作りというシーンが出来ました。」


「本当か。

どうやったんだ?」


「はい。実は作者は具体的にチートスキルがどういうもので何ができるのかを明記していません。

凄い、という事しか書いてないのです。」


「どう凄いのかが大事なんだけどな。」


「なので主人公も自分が何をできるのか知りません。

どっかのタイミングで

あいつは絶対自分のチートスキルがどんな物なのか確認しようとするだろうと思い

私達は奴の一挙手一投足を見逃さず

観察しました。

そしたらあいつはある日家の近くにある牧場に向かいました。

私達は奴が自分のチートスキルを確認しに行くのではないかと考え奴をつけました。」



「待て、何でチートスキルを確認しに牧場に

行くんだ?」


「牧場の動物を使って確認しようとしたのでしょう。

牧場であれば

誰がやったのかもバレにくいですし

実験体が沢山いますしね。」


「何て奴だ。

確認なんて動物じゃなくても木でできるだろう。」


「そしたら案の定あいつは牧場の牛に向かって

自分の手を伸ばし訳の分からない言葉を口にしました。」


「恐らく本人にとっては呪文詠唱なんだろうな。

しかしそれでどうしたんだ?

あいつは何も持っていないから牛を殺さないぞ。」


「もちろんです。

なので私達はあいつが牧場に向かっている間に

牧場の動物を全部人形に変えておいたのです。

それらの人形全部の中に導火線の付いた爆弾を設置しておきます。」


「待て待てそんなことしたら点火のタイミングが合わないし、主人公が狙った奴じゃない奴も

爆発してしまうぞ。」


「ええ、ですから導火線を地面に通して我々のいる所まで繋げます。

そうして主人公が狙った人形の導火線を主人公が呪文を言い終わるほんの少し前に点火すれば

あたかも主人公の呪文で殺したかのように

錯覚させられます。」


「しかしいくらなんでも気づくだろう。

いくら似せたとはいえ人形だから動かないし

よく見れば何か大量の線がある事に気づくだろうし。」


「そんな訳ないでしょう。」


「何故そう言い切れる?」


「だってあの作者が作った主人公ですよ?

そんなの気づく訳ないじゃないですか。

作者は自分より頭の良いキャラは作れないんですよ。」


「確かに。

しかしこれで、

読者はチートスキルお披露目に満足してくれるし、

主人公は自分がチートスキルを持っていることを信じ続けるだろう。

良かった、良かった。」


「しばらくは何とか誤魔化し続けますよ。」


「頼んだぞ。

とはいえ主人公も家にいる間は

そんなにチートスキルを使おうとはしないだろう。」


「そうですね。

何故だか主人公は自分の力を隠そうとしますからね。」


「仕方がない。

隠す力も無いやつが書いた物だからな。」

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