第13話 日和見主義?
美琴は、コウモリに生まれ変わった。
「お、飛べるじゃん、ラッキー!」
美琴は翼を広げて確かめてみた。
「知ってると思うけど、コウモリは哺乳類よ」
久しぶりに飛ぶので、少しぎこちない飛び方をして、美琴はすぐに降りて来た。
「江戸時代には、空を飛ぶんで鳥類の仲間に分類されていたけどね」
美琴は再び飛び立つが、電柱にぶつかって落っこちた。
「あー、危な!もうちょっとで落ちるとこだったわ」
美琴は誤魔化した。
「あたし達が超音波を出してるのも有名な話よね」
多くのコウモリは視覚に頼らず暗闇を飛び、人間の耳で聞き取ることがほとんどできないほどの超音波(エコーロケーション・コール)を発して、その反響してくる声を頼りに餌である“虫”の追跡や、周囲の環境を認識している。
「“ヤモリ”は昔から、家を守るから“ヤモリ”、でもって、井戸を守るのが“イモリ”でしょ」
「コウモリは川辺を守るから“かはもり→コウモリ”ってなったんだって」
「んふっ、豆知識ゲットだぜって思ったでしょ? 人に話す時は諸説あるけどって言うのよ!」
美琴は、ウインクしながらサムアップした。
「あたし達コウモリは日本に三十五種類もいるの。あたし?あたしは、ニホンウサギコウモリよ、ほらウサ耳が可愛いでしょ?」
ブタバナコウモリでなくて良かったわ、あれは可愛くないもん、と美琴は少し唇を尖らせて云った。
「ちなみに、吸血コウモリとして知られるチスイコウモリの仲間は、南米に生息する三種類だけよ」
「全世界に九百八十種類近くいると言われるコウモリ類全体の、たった〇、三パーセントしかないわ。安心した?」
少し首を傾げてぶりっこポーズをとった。
「コウモリの翼は、じつは“手のひら”が進化したものよ」
「指と指の間には油紙のように薄い皮膜(飛膜)が広がっているの」
ほら見て、と、美琴は翼(手)を広げて見せた。
「あたし達は、“飛翔”することができる唯一の哺乳類なのよ」
「え? 同じ哺乳類のムササビやモモンガも空を飛べるって?」
「あれは飛翔ではなく“滑空”っていうらしいわ」
高いとこからしか飛べないし、あんまり長くは飛べないからねと、美琴は付け加えた。
「人間って変なとこにこだわるよね」
美琴は
「なんでもあたし達の生態とか、どこら辺に棲んでるとかは、謎ばかりらしいわよ」
「コウモリっていうと、まず洞穴をイメージすることが多いでしょ?」
「でも、ねぐらはさまざまよ。木のウロとか、岩の割れ目とか、人間の住む家とか、他の場所をねぐらにする種もいるし、この種はここって決まりもないし、個体差があるのよね」
「あたしは、人間の住む家の屋根裏が好きだわ。コウモリ駆除業者に追われるけど」
「謎の多さに魅力を感じるでしょ?」
美琴はあだっぽい顔つきをした。
「あたし達に逢いたかったら、まずは川原へ行ってみるといいわ。季節は春から秋までの夕方がベストね」
「超音波を使って虫を探しながら飛んでるわよ。川原へ行ったら、虫がよく飛んでいる街灯を探しておくと、そこに飛んでくる可能性があるわ」
「あたし達が出してる超音波は人間の耳では“ほとんど”聞こえないみたいよ」
「だけど、耳のいい人や小学生ぐらいの年代の人では、コウモリが餌を追跡する瞬間のわずかな“ジジジ……”という鳴き声が聞こえるかも知れないわ」
「年寄りには無理ね!」
美琴は、
「見つけたら、美琴って呼んでね!」
「あたし達は、冬に冬眠して、春から秋にかけて活動するの。その間に子どもを産んで育てるわ」
「普段、逆さまになってぶらさがってるけど、出産の時は逆よ。大丈夫、
「もちろん哺乳類だから、小さいうちは母乳よ」
「さてと、あたしもイイ男を探して、子どもを産んで育てよっと」
「じゃあね!」
美琴はイケメンコウモリと結婚して、二匹の子どもを育てた。
コウモリの天敵は、猛禽類や、蛇、猫などである。
美琴は、猫にさんざん
次に目が覚めたとき、美琴はハエトリグサに生まれ変わっていた。
参考資料:BuNa、こうもりまにあ
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