第3話 討伐
「で? なぜ訓練が中止になって、いきなりダンジョン探索に切り替わったんだ?」
「近衛兵の心までへし折って再起不能直前まで追い込んだ奴がいたせいね」
隣の女騎士がそう答える。
「やられたらやり返す!」
本当に倍返しでやり返してやった。
「さらに上位の近衛騎士も何人かやられて、大変な事になってるそうよ」
「あれは、向こうが悪い。
嫌がる部下けしかけて、しかも痛覚強化とかいう魔法かけられたし、そりゃあ意識失うくらいまでは痛めつけるよね」
「それで、急遽実践で本来の能力を発揮してもらおうということになった」
「本来?」
「テイマーなんだろ?」
「あぁ」
そういう設定だったわ俺。
「出来るだけ強いモンスターをテイムして来いとの事だ」
「なるほど」
ーダンジョン地下五階ー
「なんの泊まる準備して無いままダンジョン来て、日帰りだと思ってたが……これ、日帰り出来るのか?」
「すまないな」
なんか雰囲気が変わったな……。
「謝るくらいなら帰ろうぜ」
「王は聖女の事諦め切れないそうだ」
マジか……
「つまり?」
「ここで死んでくれ」
今回は俺の討伐が目的だったんだな。
だが!
「俺をそんな簡単に殺せると?」
「これでも、騎士団で最強なんでな」
「だから勝てると? ふん、舐められたもんだな」
「『ストームスラスト』」
「『パリィ』からの『ストームスラスト』」
ー五分後ー
「ふぅ、ふぅ、ふぅ、残念だったな殺せなくて、それと……もうこの国で良い人ぶるのやめるわ『八紘一宇』」
「グッ」
「これな、テイムする為のスキルだけど、別にモンスターじゃ無くてもテイム出来るんだわ」
「そのようだな、もう私には貴方を殺す事は出来なくなった。
正直ホッとしている。
今回に件はあまりにも王が理不尽すぎた」
「そんな事より、帰るぞ!」
「今後どうするかの話し合いは良いのか?」
「そんなもんは歩きながらでも出来る! ちーちゃんに会う事に比べたら些末な事だろ!」
「そ? そうなのか? 貴方の討伐失敗を王に報告しなければならないのが……」
「今回は断念したから俺はまだ気づいてないって事にして、もっと数増やすように要請すれば良いよ。
片っ端からテイムするから、出来るだけ強いやつら揃えてくれ」
「分かった」
「くっそー寝ないで走っても間に合わない!」
一分一秒でも早く会いたいが、この世界には車もバイクもない!
そういうの作れるスキル欲しかった!
やっと着いた!
「ちーちゃん会いに来たよ!」
「神くん会えなくて寂しかったー……その後ろの女性はだーれ?」
あれ? 気温下がった?
ちーちゃんは満面の笑みなんだけど何故か背中がゾクゾクするな。
「実はね……」
ちーちゃんにここまでの経緯を説明する。
「なるほどねぇ、じゃあ、私も一緒に行くね!」
「えっとーどの辺から、じゃあって言葉に繋がるのかな?」
「うーんと、神くんってムッツリだからかな」
「え! 俺ってムッツリなの?」
「うん!」
スッゴイ良い笑顔で返事された。
「えっと、俺はちーちゃん一筋だし、他の女の人に興味ないよ?」
「うん、でも、神くんムッツリだから!」
お、おう。
これは、これ以上何を言っても無駄な雰囲気。
「えっとー、あ、名前聞いてなかった」
「シャーリーよ」
「シャーリー、国的に聖女連れて行くの大丈夫?」
「不可能じゃないけど、大ごとになるのは間違いないわ」
「うーん」
「ねぇ! 私と国の事情とどっちが大事なの?」
「もちろん、ちーちゃんだよ」
「じゃあ、連れてって! 神くんと一緒にいたい!」
「シャーリー、よろしく! なんとかして」
「……分かった」
ーダンジョン最下層ー
「今回は期限は一年だっけ?」
「あぁ、その為の物資も調達出来るようになってる」
「どうしてそんなに期間が長いの?」
「絶対殺して来いって事だろうな」
ちーちゃんの質問に律儀に答えるシャーリー。
しかし、大所帯だな。
近衛騎士三名に聖女の守護騎士二名、お付きの神官一名と俺たち三人の計九名。
殺意マシマシでの参加だった。
既に全員テイムしたけどな!
「この猶予期間使って思いっきり強化していこう」
「私も頑張るー」
「ちーちゃんは偉いなぁ、こんなに可愛いのに一緒に頑張ってくれるなんて」
「それはそうとずっと手を繋いでいるのは危ないと思うのだが」
「その為にお前らがいるんだろー、ねぇ、ちーちゃん」
「神くんが戦闘する時は手離した方が良い?」
「ちーちゃんはどうしたい?」
「神くんが危ないの嫌だから、離しても良いよ! その代わり戦闘終わったらギュッてして!」
「うん! 分かった! ちーちゃん大好き!」
「私も大好き!」
「ボス前着いたんだが」
「さっさとテイムして次行くぞ! あと、本国に俺殺すのに人員が少ないって増援依頼な」
どこまで人員引っ張れるかなぁ。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
長編も書いているので良ければ見てください!
https://kakuyomu.jp/my/works/16818093081579462826
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。
よろしくお願いします。
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