第2話 転生と強制力と阿呆
ということで、皆さん初めまして。
生まれたころから、少しずつ前世の記憶とクソ女神を思い出してきた悪役令嬢、クロカリエ・コクエンと申します。
クロカリエの特徴は、黒髪ロングヘア(つやつやサラサラ)に白い肌、紫色の瞳、つり目で美人の中でも綺麗系。
現在の年齢は10歳。
現在いる場所は王宮。
Q.なぜ王宮にいるかって?
A.王子の婚約者と側近を決めるためのお茶会。
もし、話の強制力があるとするならば、どうあがいても王子の婚約者となるだろう。
ーそういえば、女神が「断罪されて来い」と言っていた。
ここから推測するに、断罪は必ずされる可能性がある。
強制力があるならば、私の気が狂い悪いことをするか、冤罪をかけられるだろう。
何度も言うが、強制力がある場合の話だ。
こんなことを考えている間に、王子が近くにやってきた。
もう早速勝負が始まってしまう。
ここで一つ言いたいことがある。
皆さん、「勝負服」を聞いたことがあるだろうか?
「ここぞという場面で着る大切な衣装」という意味がある。
それと同じように、「勝負演技」というものを私は着用しようと思う。
Q.どの演技をすべき?
①か弱い令嬢
②強気な令嬢
③絶対婚約者になりたくない謙遜令嬢
④前世思い出し婚約回避令嬢
⑤お転婆で令嬢らしくない令嬢
A.とりあえずアロカリエを演じているままで。
よく考えたら①~⑤は少女漫画で婚約者になってしまう性格だわ。
どうしてこれしか思いつかないんだ!(少女漫画の読みすぎ)
あきらめて、クロカリエのままでいこう。
最初から話を変えると、後の展開が分からなくなってしまう。
分からないは致命的だ。
演じるときだって、英語、方言、なまりなどを見ている側に違和感なく届けるために分かるまで勉強していた。
もう一度言う。
分からないは致命的だ。
ーということを考えていると王子が私の顔の前で手を振っていた。
そういえば、王子のビジュアルは白銀髪(つやつ以下省略)に青い瞳にこちらも綺麗系美人だったなぁ。
「おーい。聞こえてる?大丈夫?」
おっといけない。王子のビジュアル思い出してる場合じゃねぇわ。
王子と遭遇イベントが始まってしまってる!
「申し訳ございません。少しボーっとしておりました。私はコクエン侯爵令嬢のアロカリエ・コクエンですわ。」
「僕はサクラ国第一王子ホコル・ハナサク。よろしくね。」
「こちらこそよろしくお願いしますわ。」
「ところで、麗しい君に一目ぼれしてしまったんだ。どうか、僕と婚約してくれないか?」
・・・は?
展開が早すぎる。
しかも、婚約者を一目ぼれで決めやがった。
碌な会話もしていないのに。
相手がすごいやばいやつだったらどうするんだよ。
この王子あんまり考えずに動くタイプだ。
要するに、阿呆だ。国のこともっと慎重に考えろ。
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