異世界転生 僕は悔いのない人生を歩む

@sink2525

第1話 五歳という短すぎる人生

 僕はもうしんじゃう、お医者さんからもう生きていくのは無理って言われた。

 ママは泣いていて、パパはずっと静かだった。

 どうして、みんな泣くの? どうして悲しそうな顔をするの?

 昔、ママが絵本を読んでくれた。

 人は死ぬと星になるって、言ってる意味が分からなかった。

 けど、ママは納得している顔で読んでいたの、それに、人は死ぬことが一番怖いのよって言っていた。

 けど、僕は分からないな、死ぬって何? 悲しむって何?

 僕はまだ五歳で何もできてない。

 ずっとベットで横になっているだけで五歳になっちゃった。

 でも、これからの人生に期待していたの、だってまだ五歳でこれから小学校や中学校、いろんな、いっぱい楽しいことがあるって思ってた。

 けど、今日お医者さんからもう死ぬって聞かされた。

 でもね、僕は死ぬってことは良い事なのか悪い事なのか分からない。

 だって死ぬって何なの? 死んだらどうなるの?

「まま?」

「.......ごめんね」

 ママは僕を強く抱きしめる。

 ママはどうして泣いてるの?

 だって死んだら星になるんでしょ? それって楽しいことだよね。

 僕はベットに横になったまま、ママとパパの顔を見つめる。

「もっと、もっと」

 パパは泣きながら言う。

「ごめんね、ごめんね」

 ママは泣いていて震えていた。

 僕は今何を思っているのかな、最近考えることができるようになった脳。

 最近心ってやつが成長してきて、愛情、感情、とかそんなのを感じている気がするの。

 でもね、僕は何も分からないよ。

 小さい手で、小さい体。

 でも脳は大きくて心が広くて。

 人ってどうやって生きてるの? そもそも生きるって何なの?

 僕は死んだらどうなるの? 死んだら星になるの?

 分からない、分からない。

 僕は何も分からない、分からないよ。

 目からは涙が流れる。

 これが感情ってやつ? それとも愛情ってやつ?

「パパ、ママ、怖いよ」

 自然と出た言葉は僕もビックリした。

 僕は何も知らない、世界の楽しさ、人の愛深さ、人の怖さ、死ぬという恐怖感。

 けど、今の気持ちだけは知ってる。

 怖い、星になるって何?

 怖い、怖い、怖い、もっとママとパパと遊びたい。

 怖い、怖い。

 お医者さんは僕をずっと見つめていて、パパとママは僕に抱き付く。

 星になりたくない。まだ傍に居たい。

 ママと買い物したい、おもちゃを沢山買いたい。

 ベットにはたくさんのおもちゃとパンダのぬいぐるみが置かれている。

「パパ、ママ、僕、しあわ....」

 その時、心臓に痛みを感じる。

 痛い、痛い、嫌だ、死にたくな...。

 そして、五歳という若すぎる人生でこの世を去る。

 まだ世界の汚さ、世界の醜さ、世界の広さ、世界の美しさ。

 まだ知らない、人の愛深さ、人の怖さ。

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