第2話 回廊のこっちのお客様
◇
俺は、南十字星の隣りにある別棟、
ゲストルームへと向かった。
今日も、二階の一番奥にある、
二段ベッドが2つ並んだ四人部屋。
新しくてとっても綺麗なんだ。
今日は出迎えの大歓迎はなかったけど、
花壇の手入れをしていたおばあさんさんがにっこり迎えてくれた。
扉を開けて、
中のおばあさんが、鍵をくれた。
「いらっしゃい。一番乗りね。」
少し長めの小窓から、
森の木々がみえる。
ベッドにごろんとしたら、空だって見えた。
俺たち四人は、この部屋をクラスIIと名付けたんだ。
鞄は部屋に運ばれていた。
パジャマがあった。
炎のモチーフに、金の
◇
俺たち、
みんな見た目は中2なんだけど、
中身は、ばらばらなんだ。
俺、煉獄のレンは小2。
一緒にツインシュートをキメた、
妖精のサヤナ、緑と銀の
たぶん、ずっとお姉さんだと思う。
ボーイッシュなんだ。
お土産品にもなってた、
島のアロハンシャツは、
ドレスじゃなくて、俺と同じ、
シャツと白いパンツスタイルにしてた。
きっと、サッカーがやりやすいからだろうなあ。
優しい態度なのに、
おちょくるようなボールさばきをする。
負けず嫌いなんだ。
◇
かもめのナギサは、
青と銀の
意外とからかってくるんだぜ。ちえっ。
あいつは年が近いと思う!!
腹ぺこのチワは、
まるっとした女の子。赤と銀の
俺たちソックリの赤い泥棒竜が出てくる騒動があったんだ!!
俺たちは
胸に手を当てる。
ぼわわーんと煙が出て、俺はチビ竜へと変化する。
久しぶりっ。
背中にぐんと力を入れると、
低空飛行した。
面白いだろ?
最初期は、こっちがデフォだったんだ。
人型はなかった。
でも、
泥棒との人違い事件がきっかけで、
すぐに仕様変更になったんだよ。
森の神殿の売店じゃ、
みんな汗をかきかき謝ってくれたし、
お詫びのミルッシュソーダをもらったし、
シオンさんの神対応。
売店の兄貴たちだって、凄かった。
ここの島の大人はニコニコしてるけど、
すっげーんだよ。
ただもんじゃない!
結果オーライ★
泥棒にも感謝。
大っ嫌いだけどな!!
◇
俺は再び半竜型に戻った。
そして、
鞄の荷物をクローゼットにあけたりしていると、
小窓から人影が見えた。
おっ、
サヤナたちかな?って思ったら、
違った。
なんか、凄い二人組が来たんだよ。
◇
前を歩いてる、
てぶらのお兄さんは、
アトラスにもシオンさんにも似てた。
弟さんなのかな??
紫の髪。細い身体。背も高かった。
細マッチョってやつだ。
少し長めの髪を後ろで縛ってた。
白いシャツにネイビーのパンツなんだ。
でもツヤツヤした紫のリボンがくるくるしてる、
不思議な服を着てた。
後ろからやってくる、
大きな鞄をがらがらと、ひきずるお姉さんは、
ピンクのふりふりした服のメイドさんだった。
白いエプロンと、白いヘッドドレス(だっけ?)
ツヤツヤしたピンクのリボンがくるくるして、
顎の下でするりと結ばれてた。
黒縁の眼鏡。
紫の長い髪。
森の中で、
二人の姿は、
くり抜いたようにぽっかりと浮いていた…。
しかもゲストルームにやってきた。
きっと別部屋のお客さまなんだろう。
たまげた。
今回は、
小学生だけじゃないんだな!
二人は大学生とか、
大人と言われる年齢に見えた。
つか、前の男、
荷物くらい持ってやればいいのに?
だせえやつ。
そして、
後ろのお姉さまは、
なかなか、
おきれい。
ふふふっ。
俺はぺろっと舌を舐めた。
上目遣い。
鏡で前髪を整えて、
意気揚々と玄関までお出迎えに行くことにしたのだ。
ルン★
俺のほうが
◇
ポーラとアトラスも一緒に部屋に入ってきた。
おばあさんのうちの一人が、
ロビーで二人に丁寧に説明してるのが見えた。
だから、二人は大人なんだなと思った。
それに、
回廊のこっち側のひとなんだろう。
火山列島じゃなくて、
遠くの大陸のお客様なのかもしれない。
「はいっ!」
ポーラがにこにこと、
白い風船と、
子ども向け。
彼らのおみやげなんだって!
へー!嬉しいっ!
なんだ!
いいやつじゃーん。
名前は、
お兄さんが
お姉さんが
へえ。
ぶっきらぼうだし、
風変わりだけど、
俺たちとそんなに変わらないんだなと思って、
ホッとした。
いつのまにか、
背後にアトラスがいた。
アトラスはボールを持って二カッとした!!
あっ!
やったあ!
俺の目は、すっっっごくキラキラしてたと思う。
「今日もサッカー出来る?!」
アトラスは、斜めに首を振ってみせた。
「えー、
大人は忙しいんだよなあ。」
わざとらしく、
頭をぽりぽりかいたあとに。
「ササッカーならいいぜ?」
にんまりと笑った。
っしゃー!!★
みんな集まったら試合開始だって。
◇
そうと決まったら、
さっそくあちこち調べなきゃな!!
なぜなら、
ササッカーは、
呪いあり、部外者オッケー、
ルール無用の、
五分限り、
スーパーへんてこサッカーだからだ!!
隠しアイテムがないか、
くまなくさがしてこようと思った。
◇
南十字星の工房やリビングの周りをぐるりと一周、
こっちのゲストルームも、
ぐるりと一周しようと思った。
夏の草は、
踏みつけるたびに、
チクチクし、匂い立った。
いい気持ち。しかし暑いなあ。
俺は、
胸に手を当ててトランスフォームして、
赤いちび竜に変身した。
やっぱり!
こっちのほうが暑さには強い!
背中の羽根も練習しようっと。
そして俺は、
黒い羽を、ぱたぱたさせながら、
建物の周りをぐるりと、
ときどき屋根に登ってみたりして、
どったんばったんと探検していったのだった。
(続)
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