1413 無名のライブを見て思い出さされた事
橘親子の引っ越しの準備を考えながらも、無名のライブを観戦する倉津君。
そこで感じた事は?
***
……っと、まぁそんな風に脳内で、自分勝手な明日の予定を立てながら。
この後はご機嫌なまま、橘親子と一緒に【無名】のライブをタップリ堪能させて貰ってる訳なんだがな。
此処で突然、話題が変わって申し訳ないんだが。
その【無名】のライブ内容が、以前に見た時に比べて俄然良くなっている事について、少々語らせて貰おうと思う。
まぁまぁ……そうは言ってもだな。
嶋田さんと、康弘については、相も変らず、安定感抜群の滅茶苦茶上手い演奏をして観客を盛り上げてるのは言うまでもないんだが。
それに付け加えて今回は、今日、新しく投入した親父さんのギターやベースの相性が、嶋田さんや康弘と相当良かったのかして、自然に音に深みが増し、更なる進化を遂げているのが目に見えてわかる。
ブッチャケ言えば、新しい楽器を使うって言うのは、自然とテンションが上がるものだしな。
その効果が如実に出た感じに成っているので。
此処に関しては『親父さんを2人に紹介してよかった』って感じの話で纏めて置こう。
そして、次にボーカルの椿さんについてなんだがな。
彼女にも小さな変化があってだな。
コチラも以前同様に、相も変らず歌が滅茶苦茶上手いのは言うまでもないのだが。
それ以外にも、曲の合間で行われるトークが、やけに上手くなってるなぁって感じさせる要素がふんだんにあったりする。
まぁ、そうは言っても、あの例の椿さん独特の話し方自体は、いつもの調子のままなんで、そこに関しては、あまり変化は見受けられないんだが。
そのトークの内容の幅が異様に広がってると言うか、天然で面白い話をするのではなく、何気に観客受けの良い面白い話をする様になっているんだよなぁ。
此処に関しては、流石、現役東大生と言った所か。
話題作りが上手くなってる様な気がする。
現に、今さっきのトークも観客に大ウケをしていたしな。
これは今後のバンドにとっても『ファンとの交流を深める』為の大きなアドバンテージに成るのではないかと推測される。
やりますな、椿さん。
そんで最後にはなっちまったんだが。
矢張り、例のカラオケの時の一件で、変な蟠りが無くなったMrオチ要員事、屁扱き生ウンコ垂れ蔵ノ助についてなんだが。
腑抜けていた以前とは比べ物に成らない程、目に見えて、必至に良い演奏をしている感じが各所に渡って見受けられた。
それは言うなれば、まさに『昔、なんでもかんでも崇秀に噛み付いていた頃の山中が再降臨した』って感じだったな。
まぁ此処については、心理作用が、人間に此処まで大きく影響すると言う事を立証された事になっているものだと思われる。
そんな風に、今の【無名】のメンバーは、誰も彼もが、兎に角、以前と比べて一皮剥けたと言うか、別物のバンドに成りつつあるな。
観客の反応にしても、それに伴って【奈緒グリ】並みの凄まじい物に成ってるしな。
此処からも解る様に、短期間でスゲェ進歩してる事も証明されてる。
そんな気合の入った良いライブを見せて貰って、俺も更にやる気が出てきていた。
これはまさに『明日への活力』って言って良いほどのものですな。
***
……なんて調子の良い事を言ってはみたものの。
そんな気持ちの良いライブを見終わって、俺は『ふっ』とある事を思い出さされる羽目に成った。
それがなにか?と言うとだな。
山中が、こうして【無名】のメンバーとして良い演奏出来ているのは、メンバーがお互いの事を考えての行動をしたからこそ、此処まで上手く行ってるんだと言う事に。
もしあの時、嶋田さんや、康弘や、椿さんの誰か1人でも、理由も考えず、山中の言い分も聞かずに、アッサリとアイツを切り捨てる様な冷たい人達だったら、絶対に、こうは上手く行ってなかった筈。
いや寧ろ、此処に山中の存在自体がなかった筈。
お互いに、絶対的な信用関係が有ったからこそ、今のこのバンドは成立してるんだって事を……
・・・・・・
そんな風に信頼関係が成り立っている無名のメンバーに引き換え、俺は、なんなんだろうか?
『幼馴染の親友に、彼女を寝取られた』
『その話を笑いながらされた』……からって『相手方が理由が有る』と言ってるのにも拘らず、アイツらの言葉を一切なにも信用せずに、一方的に見限った。
それでいて新しい関係が構築されてからと言って、それに満足して、もぉソチラの方には一切興味が無い様な事まで言ってる始末。
その上で、親父さんには『信用』や『信頼』を押し付けてたんじゃあ、ホント世話ねぇよな。
これじゃあ、一番、誰も信用して無かったのは俺の方なんじゃないのか?
そりゃあ確かにな。
『アイツ等のした行為は、今でも、決して許される行為ではない』とは思うが。
理由も、話も聞かなかったのは、本当に良かったんだろうか?
『あんなに俺を愛していてくれた奈緒さんが、本当に、そんな馬鹿な事を喜んで受ける程、彼女は杜撰な性の持ち主だったか?』
『いつも俺がピンチの時には必ず駆けつけてくれた崇秀が、そんな馬鹿な事を、なにも考えず、やる様な馬鹿な奴だったか?』
『毎回、色々と俺に気を使ってくれてる眞子が、笑って話せるからこそ、なんかそこには大きな理由があったんじゃないのか?』
これって、俺1人が、激しくなにかを勘違いしてるだけなんじゃないのか?
……【無名】のライブでの進歩を見ていて。
アイツ等に対しての後悔の念が、そんな風に少しだけ沸いてきた。
もう、今更なのかも知れないけど……どうしたもんだろうな、これ?
俺……本当に、このままでいいのだろうか?
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
無名のライブを見て、色々思い出さされる事があったみたいですね。
そうなんですよ。
実は、今回の無名のライブと言うのは、ライブの内容を伝えて盛り上がって貰う為の物ではなく。
倉津君に、これらの事を思い出させる為だけに、私が組んだシナリオ。
要するに「伏線」だった訳ですね(笑)
まぁまぁ、物語的の流れ的に言えば『偶然の産物』でしかないのですが。
三大ライブと言う名目な以上、ただライブで盛り上がるだけのシナリオを組んでも面白くないので。
こうやって、各バンドの特徴に合わせたライブを敢行させて頂いた次第なんですよ。
そんな裏話があったりします(笑)
さてさて、そんな中。
此処で漸く、倉津君が、奈緒さん達の事に再度目を向け始めた様なのですが。
この後、どういう展開が待っているのでしょうね?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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