1402 まさに糞話

 沙那ちゃんを学校に行かす為にも、まずは親父さんの信頼を獲得するべきだと考えた倉津君。

早速、その一手として、嶋田さんや遠藤さんに親父さんの楽器を売り付け様と企むのだが……


***


 橘親子を連れて、いつもの様に関係者専用の出入り口から入って行く。

もぉ最近は、誰かからチケットを貰っても、コチラから中に入る事の方が多いので、普通の出入り口から会場の中に入った記憶がない。

寧ろ、殆どと言って良い程、この通用口を、当たり前の様に使ってる様な気がして成らない。


しかも、もぉ堂々と入っていってるしな。


『なんか慣れって怖いもんだな』とか思いながらも、結局はズンズンと通路を進んで行く。


けど、そんな厚かましくも、無神経な感じで中に入って行く俺とは違い。

一緒にゲートを潜った橘親子は、2人して、少々緊張気味な雰囲気を醸し出している。


いや……正確に言えば。

沙那ちゃんは緊張をしている中でも、比較的はしゃいでいる様子なんだが、親父さんの方は……ガチの緊張。

鋼鉄の鎧でも纏ってる様にガチガチに成って、挙動不審な感じだな。

若しくは、歩き方が、昔の映画に出ていた『ロボット』みたいにギコチナイ。


でも、頑張れ、親父さん。


此処は、一本でも多くの楽器を売る為にも。

その緊張し切ったガチガチの体で、上手く交渉を纏めていって貰わなきゃイケナイっすからな。


昔のロボットに成っていても、頑張って貰うしかない。


頑張れロボコン!!


デンガラガッタ、デンガラガ~タ~(昔の特撮参照)!!だからな。


***


 そんな、なんとも滑稽な程に両極端な親子を連れ持って廊下をドンドンと進んで行き【無名】の楽屋に到着。


此処も、いつも通り『ノック』をしてから中に入れて貰おうと思った矢先、ノックをする前に『ガチャ』っと扉が開いた。



「ほな、悪いけど。ちょっと行って来るわな。……って!!うぉ!!吃驚した!!なにがボケッとツッ立ってるんか思たら、なんや木偶の坊のマコやんけな」

「オンドレは!!開口一番、誰が木偶の坊じゃ!!この生糞ッタレ」


呼んでもしないのに、アホの親玉が、謂れの無い暴言を俺に吐きながら、ヒョッコリと楽屋から出て来やがった。


だが今回、基本的にオマエに用はない。

俺が用事があるのは、弦楽器を扱う嶋田さんと、康弘だけだ。

故に、打楽器使いのオマエさんは、この場から即座に立ち去れ。


失せろ。


散れ。


寧ろオマエの場合は消えてなくなれ。



「誰が生糞ッタレじゃ!!毎回毎回『垂れかけや』って念押しに言うとるやろうが」 

「ふ~~~ん。垂れかけなぁ。……けどよぉ。俺、前々からズッと気になってたんだがな。それって、本当か?マジで垂れかけで済んでるのか?」

「失礼なやっちゃな。ホンマじゃ……多分。保証はなしやけど」

「多分で、保証が無いって事は、実は『屁を扱いて、ちょっと漏れちゃった』なんて説があるんじゃねぇのか?なんか、さっきから臭うし」

「やかましいわ!!誰がウンコ臭いんじゃ。臭ないわ。それにのぉ。妙にリアルな事言うてんちゃうぞ!!誰が下痢起して、トイレ探してる間に、屁扱いて、身も一緒に出てもとんねん!!そんなもん、万に一回ぐらいしかないわ!!」


……有るのかよ。


そこは出来れば、嘘でも『ない』と断言して欲しかったもんだな。


プゥ~~ビチビチ野郎。



「そうか、あるのか。なら、即座に肛門科に行け。ご愁傷様」

「アホか!!まだ病院には罹らんでもセーフな状態じゃ。なんせ、生涯、まだ二回しかした事が無い貴重な体験やからな。あれは、マジで蒼褪めるぞ」


そりゃあな。

道端で糞垂れりゃ、誰だって蒼褪めるわな。


何所の世界に、糞を垂れ流して堂々と道を歩いてる奴が居るんだよ。


どんなスカトロマニアやねん?



「2回か?……ほぉ。そりゃあまた、思ってた以上に高確率の噴射だな」

「まぁな。大阪で一回。コッチ来て一回って所やな」


うん、そこもイラナイ情報だからな。


糞ネタにも飽きたから。

オマエは、これ以上、余計な話を長引かせてねぇで……サッサと去れ。



「つぅか、マコ。それはそうとオドレ。今回も金払わんと、無料チケットで観戦か?えぇ身分やのぉ」


なにを言うかと思えば……



「アホかオマエは?大体にして今回のチケットは、オマエが、俺に、無理矢理渡したんだろうが。忘れたのかよ、この肛門の緩いアルツハイマー野郎」

「うん?……おぅ、そやそや。確か、そうやったな。そんな気がするわ」

「それって、まさか……尻と、アルツハイマーの事か?」

「ちゃうわ!!なんでそんな『穴リー』な話を継続せなアカンのじゃ!!チケットの件が、そんな気がするだけの話や」

「あぁそぉ。けどなぁ。それは、そんな気がするんじゃなくて、100%オマエが渡したんだよ」


ヤッパ、馬鹿と言うカテゴリーの中で生きてる奴は、どうやっても上手く進化しねぇもんなんだな。

コイツも俺同様、いつまで経っても馬鹿のままだし、哀れにも記憶媒体である海馬まで破壊されてる始末。


なんだか馬鹿の生態について、明確なまでに確証が得れたのは良いんだが、スゲェ哀れな感じだな。



「さよか。ほな、俺ションベン行って来るさかい。ごきげんよう」

「スルーかよ!!聞けや!!この生糞垂れのボンクラ!!」


そう言う事をするから、オマエは、いつまで経っても馬鹿のままなんだよ。


偶にはな。

この、俺の有り難い様な、有り難く無い様な説法を聞き腐れ。


オマエの人生に於いてはなんの役にも立たんだろうが、俺のストレスだけは微妙に軽減されるからな。


だから聞け。



「ヤバッ!!オンドレと尻の話ばっかりしてたら、マジでウンコしたなってきたわ」

「キッタネェなぁ……つぅかよぉ。トイレ行くのは大いに結構だけどよぉ。嶋田さんと、康弘は楽屋に居るのかよ?」

「おぉ、おんで。なんぞ用か?」

「オマエには関係ない。失せろ便所蟲」

「便所蟲は、オマエじゃ。去年の文化祭で、そう決まったやんけ」

「はぁ?そうだったか?記憶にねぇな」

「マジで忘れとるわコイツ。つぅか、それやったらアルツハイマーは、オドレの方やないけ」

「・・・・・・」


チッ!!海馬が破壊された馬鹿のクセに、そんな余計な事だけは憶えてやがったか。

あの大地の女神(千尋)から授かった不名誉な称号を、此処でオマエに擦り付け様としてのに……失敗か。


残念無念。


……っとまぁ山中とは、こんな糞みたいな話をしてきた訳なんだが。

実は、こんなアホみたいな会話をしながら、少し『ホッ』っとしてる部分がある。


確かに山中は救い様のないアホだが、その分裏表がないので、アイツらみたいな黒い部分が見受けられないからな。


なんて安心感に包まれていたら……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


なんの話をしてるのかと思いきや。

実は倉津君、ちょっと山中君の事を試していたみたいですね。


まぁ、今現在、誤解とは言え、奈緒さん達の一件があって疑心暗鬼に成ってる部分がない訳ではないのでしょうから、こればかりはしょうがないのかもしれませんね。


……っとは言え。

いつまでも、こんな糞話を続けていても仕方がありませんので、次回は話を進めて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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