1388 離別、そして……

 倉津君の出してきた、あまりにも冷酷な条件を眞子はクリアし。

今回の経緯についての説明を、倉津君に聞いて貰う事が出来るのか?

(条件については前回参照(笑))


***


「そんなの……」

「はい、終了な。無理を臭わせた時点で、オマエの道理は通らない。……オマエは、俺の気持ちが解ってなかったから、そんな事を軽々しく言っただけだ。けど、面白い余興だったぞ。演出としては最低だったけどな」

「違う!!余興なんかじゃないの!!お願いだから、話を聞いてよ、真琴ちゃん。お願いだから……」

「知るか。つぅか、俺はなぁ。今後、二度とオマエ等とは関わり合うつもりはねぇから、もぉ言い訳なんかイラネェんだよ。解ったか?……じゃあな。アバヨ」


俺は、チャリに跨って、この胸糞悪い現場を後にする。


だが、まだ懲りずにアイツは……



「聞け!!この解らず屋!!」


アホが、まだ何か言い足りないのか、俺に向って言葉を投げ掛けて来やがった。


けど、コイツの話なんざ聞く気がない俺は、そのまま無視して、その場を後にする。



「逃げないで聞け!!私は、私はねぇ!!……んぐっ、んぐっ!!」

「ダメ、眞子!!それだけは、絶対に言っちゃダメ!!」


なんだなんだ?

訳の解んねぇ事を言いながら、なんか、またみすぼらしいだけの茶番が始まっちまってるぞ。


そんな腐った演技じゃ、小学生が見ても鼻で笑っちまうだけだぞ。


しかしまぁ、この期に及んで、まだ隠し事をしてやがるみたいだな。


とんでもねぇな、コイツ等。

この時点で隠し事があるなんざ、反省の色もねぇって事だろ。


ならもぉ、マジで人として付き合いきれねぇな。


***


 はぁ……なんかある意味、妙にスッキリしたな。


いやいや、あの女の浮気のせいで、腸が煮えくり返る位、腹を立てていたのは事実なんだがな。

アイツ等の本性が、あんなロクデモナイ奴等なんだったんなら、寧ろ、事が明白に成って良かった、としか思えねぇんだよな。


『嘘』『嘘』『嘘』っで、全てが嘘で塗り固められた、あの腐った人間関係。

ありゃあ、もぉ既に、肥溜め以下の人間が集まる集落だ。


まぁ、そりゃあな。

今まで『楽しくなかったか?』って聞かれりゃ、嘘になるだろうけどよぉ。

あんな事をされた後じゃ『人間、あれ程までに、完璧に人を騙せるもんなんだな』っとしか認識出来無い。


俺自身が、あれだけ仲良く出来てたと思ってたのに。

その全てが、俺を騙す為だけの仮面だったと思うと、正直、今でも背筋が凍って『ぞっ』とする。


あんな真似、馬鹿な俺にゃあ出来ねぇよ。


まぁまぁ、兎に角だ。

なんにせよ俺は、アイツ等と縁が切れて良かったと思う。


あんな魑魅魍魎の類と、今後も上手くやって行く自信もねぇしな。


住む世界が違うわ。


あれなら、まだヤーさんの世界の方が救いが有るってもんだな。



まぁヤクザは、その分、金には不誠実だけどな。


***


 ……っとまぁ、そんな訳でだ。

あんなに好きだった筈なのに、あの話を聞いてだけで全く興味がなくなってしまった俺は、なんか余りにも拍子抜けな結末に、特別、これと言った喪失感も、実感も湧かず。


ただ『終わったな』って感じるしかなかった。


故に、機嫌も、そんなに悪い訳じゃないから。

そのまま家に帰るつもりだった予定を急遽変更して、のらりくらりと隣の駅まで移動。


そこから電車に揺られて、代々木第一体育館を目指す事にした。


要するに、今日『無名』のライブがある場所だな。


まぁ、こんな時だからこそ、家に帰るんじゃなくて。

明日の為にも、完全に気持ちのリフレッシュを図って置きたいからな。


勿論、多少、ストレスも残ってるしな。


***


 そうやって、代々木第一体育館に到着したのは、大凡3時ぐらい。


まぁ、天気の良い日曜日だから、矢鱈滅多らゴチャゴチャと人が多いのは、いつもの事なんだが。

その中でも【無名のグッズ】を持った人間を多く見受けられる。

それに伴って『チケット求む』の看板を持ったファンらしき人物や、ダフ屋のオッサンも、結構な数で居やがるみたいだしな。


この事から『ヤッパ【無名】もスゲェ人気があるんだな』っと、毎度の事ながら思い知らされる。


ドンドンと、みんな遠くに行っちまうんだな。


まぁ、そうは言っても。

あの女と別れた俺にゃあ、音楽を本気で続ける理由が無くなっちまった訳だから、もぉ無縁な世界だけどな。


これからは、精々メジャーを目指す事も無く。

ベースも、偶に弾くだけの趣味程度に留めるつもりだしな。


それに、中学を卒業したら高校受験をする気もなくなったし、ヤーさん街道まっしぐら……ってか。


これこそ『失った熱意』……『Lost Heart』だな。


まぁ、今に成って考えてみりゃ。

魑魅魍魎に唆されて、なに甘えた現実逃避してたんだろうな。


なにが『プロに成ったら、ヤクザにならずに済む』だ。


そんな事が有り得るかっての。


実に馬鹿臭ぇ。


まぁ、そんな事をボケ~~っと考えながら、プラプラと、その辺を歩いて居たら……『ドンッ』っと、なにかにぶつかってきた。


なんだ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


道理が通らないが故に理由も聞かず。

とうとう3人とは絶縁をしてしまいましたね。


ですが、此処までの倉津君は、比較的、冷静な行動をとっていましたので。

これはある意味、人間的な成長をしてる証拠なのかもしれません。


結局、これだけ怒っているにも拘らず、殴り倒したのは男性である崇秀にだけであり。

最後の最後まで、奈緒さんや眞子の様な女性陣には手を上げませんでしたからね。


さてさて、そんな中。

やって来た代々木第一体育館。

無名のライブを見て、ストレスを解消しようと言う魂胆の様なのですが。


その前に誰かとぶつかってしまいましたね。


一応、怒りが収まってるとは言え、こんな状態の時の倉津君にぶつかるなんて……


って感じの話を、次回は書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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