1386 裏切りの代償

 奈緒さん、崇秀、眞子に裏切られたと思い込んでしまった倉津君。

その怒りは、崇秀すらも黙らせ(訳アリ)、絶縁を叩き付けるほど。


そして、そのまま帰路に就こうとしたら……


***


「待って!!お願いだから待ってよ、クラ!!」


この言葉すらも無視して帰路に就こうとしたんだが。

二階から現れた、その片割れの女の方が、血相を変えて階段を駆け下りてきたがった。


しかも駆け足で、こちらまでやって来る始末。


チッ……来んなよな。

こちとら、アンタには、なんの用もねぇんだからよ。


それに、そのアンタの雌の臭いをプンプンさせてる体臭……気持ち悪いんだよ。


今にも吐き気がしそうだ。



「アンタ、誰?」

「えっ?」

「アンタ、俺とは初対面なのに、やけに馴れ馴れしい女なんだな。悪いけどアンタさぁ、俺を誰かと勘違いしてるんじゃねぇの?」

「えっ?なに?……なに言ってるの?私……私だよ、クラ」

「はぁ?私って言われても、アンタが、誰だか知らねぇけどよぉ。その俺の彼女が言う『クラ』って呼び方、見知らぬアンタに言われる筋合いはねぇんだけどなぁ。辞めてくんねぇかな?……気持ち悪い女だな」

「えっ?」

「良いか?俺の彼女はな。オマエみたいに、幼馴染に手を出す様な淫売な女じゃねぇんだよ。ってか、汚らわしいんだよ、援交女。……気安く俺に触わろうとしてんじゃねぇぞ」

「あっ……」


失せろ。

俺の目の前から消えてなくなれ、この頭の狂った薄汚い援交女。


俺は……アンタが、そこまで頭のイカレタ色情狂だとは思わなかったよ。


勿論、そうは言っても、過去の事なんぞは元々なんとも思っちゃいねぇから、コイツがやらかした過去の過ちは飲む込んできたつもりだ。

……けどな。

今の立場で、それと同じような事を、また平然とやってのけるアンタの気が知れねぇよ。

しかもそれを、恥じる事無く堂々と歓談してるなんて、気が狂ってるとしか思い様がねぇよ。



「へへっ、そんなに客が欲しけりゃあ、ソチラの男なんかは、どうッスかね?」

「えっ?」

「コイツ、ツレの彼女に手を出す程、飢えてる最低な野郎だけど。その分、金だけはガッポリ持ってるぞ。なら、アンタの商売には最も適してるんじゃねぇッスかね?」

「えっ?えっ?」

「遊び金が欲しくて、体売ってるんだろ?だったら、ちょっとでも高く買って貰えよ」

「えっ?クラ……」

「どうぞ、どうぞ、遠慮せず、ご自由に。幾らでも、金の為に股開いて下さいな。パッカパッカ開きゃ、ガッポガッポ遊び金が入って来て、アンタには似合いの生き様なんじゃねぇの」


これぐらい言わなきゃ、また絡んできやがるしな。

股が絡まれたら、堪ったもんじゃねぇから、サッサと失せろ。


俺は、今のアンタの生き方に干渉する気は、これっぽっちもねぇからよ。


好きにしろ。

好きな様に生きて、好きな様に死んでくれ。



「あっ、うっ、うっ……うぅ……クラ……」

「はぁ?オマエさぁ、日本語も解らねぇ程、脳味噌が蕩けきっちまってんだな。さっきから俺の事を『クラ』って、気安く呼ぶなつって、そう言ってんだろがよぉ。頭大丈夫か?……俺の知り合いだった男に手を出したオマエには『その権利はねぇ』って、俺は、そうハッキリと言ってんだよ。それぐらい察しろよな」

「ぐすっ、ぐすっ……うっ、うっ……うぅうぅ~~……」


なに泣いてんだか知らねぇけどよ。

事実だろ事実。

アンタは、自分の性欲を制御出来無いんだろ?


それで、こんな結末を迎えるだなんて、お可哀想にな。


まぁけど、オマエさんは、そうやって誰彼構わず、腰を振らなきゃ生きていけねぇんだからこうなっても、しょうがねぇわな。


自業自得とは言え、最高に哀れな生き物だな……アンタって。



「真琴ちゃん。もぉヤメナよ。奈緒ネェは悪くないんだから。今更そう言う事を言うもんじゃないよ」

「はぁ?誰だか知らねぇけど、なに言ってんのオマエ?こちとら、現実的に体を売ってた人に上客を紹介してやってるだけじゃねぇかよ。なら、感謝されても、文句を言われる筋合いなんかねぇだろうに。馬鹿じゃねぇの?」

「そんなの、もぉ昔の話でしょ!!もぉ、そんなんじゃないでしょ!!」


うっせぇわ。


外野は黙ってろ。



「あぁもぉ、ドイツもコイツもキャンキャンとうるせぇな。つぅか、今も、昔も、ソイツは何も変わらねぇよ。現に、彼氏が居るのに、そこに居る男とHする様なHの事しか頭にない、脳味噌の蕩けたメス犬じゃねぇかよ。こんなスキモノの淫乱女、今までに1度も、お目に掛かった事もねぇよ」

「うぅ……ぐすっ、ぐすっ……うっうっ……うぅうぅ~~……ごめんなさい、ごめんなさい、クラ」


外野を黙らせる為に喋ってんのに、なんでオマエが泣くんだよ?


ってか、今更、なにを謝ってるんだ?

そんな心の籠ってねぇ様な謝罪で済むとでも思ってるのか?


オマエなんぞ、誰が2度と信用するかよ。


俺はなぁ。

相手の前では体面を繕って、影でクスクス笑う様な卑怯モンが一番嫌いなんだよ。


よくもまぁ、今の今まで上手く騙してくれたもんだな。


まぁ……それはそれなりに楽しかったけどな。

オマエ、顔だけは良いから、オマエで童貞を無料で捨てられたのはラッキーだったしな。



「もぉ止せよ、倉津。向井さんが、そんな人間じゃない事ぐらい解んだろ」

「うわっ!!なんだコイツ、気持ち悪ッ!!当事者のクセに、なに格好つけてんだ?」

「そうだな。俺が、俺が、なにもかも全部悪いんだ」

「崇秀、オマエ……」


・・・・・・


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


現実的にあった性交渉だったとは言え。

理由があっただけに、奈緒さん、滅茶苦茶可哀想ですね。


ですが。

その辺の理由を知らないとは言え、それを言ってる倉津君の方は、もっと辛い筈。

突然の様に、裏切りを最愛の女性である奈緒さん本人の口から聞かされてしまい。

しかも、それを歓談されたんじゃあ、こうやって相手の人格を疑うしかないですからね。


本来なら、奈緒さんに対して、こんな事を一言たりとも言いたくもない筈ですから、かなり辛いと思います。


さてさて、そんな修羅場と化した中。

崇秀の『自身の責任だ』っと言う言葉に、なにやら倉津君が反応を見せた様子。


これを切欠に、少しはみんなの話を聞いてくれる体制を取るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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