蛇足気味の解説
第8話 異世界転生は発明品。しかし主人公最強は難しい
結論
異世界転生は世界観を無理なく説明できるので、とても書きやすい。
しかし主人公最強はピンチを演出しにくいので、面白くするのが難しい。
最強にするにしても、弱点は作ったほうが書きやすい。
【物語を完結させる】というこの創作論の趣旨とは、少し外れた内容かもしれない(この話は読み飛ばしてOK)。
☆
「Web小説を書くのならやっぱり異世界転生」
という人は多いように思えます。
この創作論の目的は【物語を完結させること】であり【投稿すること】ではないので、別に投稿する必要はないのですが……やはり書き上がった物語は誰かに見てもらいたいもの。
投稿するならやっぱり異世界転生を書いたほうが伸びるのかな?という方に向けて、一応の解説(あくまでも個人の意見)。
個人的には最初の一作に異世界転生は結構オススメだと思っております。
なぜかというと
【舞台設定やキャラクター設定を自然に説明できるから】
です。
たとえば現実世界で恋愛物を書こうとして、幼馴染が登場したとします。
「彼女は幼馴染で、ずっと俺のそばにいて、優しくて強い魔王なんだ」
こんなセリフを書いたとして……誰に説明してるの?ってなってしまいます。
主人公はヒロインのことをよく知ってるハズなのに、知らない読者に向けて説明しなければならない。結果として不自然な台詞になってしまう、ということがあります。
もちろん転校生に対して幼馴染を紹介している、という場面を付け足せば自然になるかもしれませんが、いちいち舞台を整えるのも面倒。
それらの問題は異世界に行ってしまえば解決します。
【これはなに?】【あなたは誰?】【ここはどこ?】
これらのセリフを主人公が話すことが自然になります。なぜならそこは異世界で、主人公はなにも知らないからです。
逆にその世界にずっといるハズの主人公が【あれは誰?】【ここはどこ?】とか言ってしまうと、ものすごい無知なキャラクターが完成してしまいます。
主人公は読者の理解を深めるために、相手に質問することが一番多くなりがちです。
主人公が聡明なキャラクターであったり、知識量がすごいキャラクター設定だと、これらの質問がしにくくなります。
なぜなら主人公は、質問せずとも知っているハズだから。
でも物語をわかりやすくするためには、主人公に質問させるのが早い。
解決法としては【主人公は細かいことを考えるのが苦手】という設定にしてしまうこと。
そんな主人公なら会話の最中に、
【え?】
【なに?】
【なんだと?】
【どういうことだ?】
【なにが言いてぇ?】
と、相手の言葉を引き出してくれることでしょう。
ちょっとこの創作論の趣旨から外れた話題になってしまったので、話を戻します。
他にも解決方法は色々ありますが、異世界転生をしたら
【主人公は聡明なキャラクター】と【質問するのが自然な場面を作る】
という事柄を両立できます。
主人公は賢いのだけれど、その異世界のことは何も知らない。そうなればなんの躊躇もなく質問をさせることができます。
☆
ちょっと長くなってしまいますが、せっかく異世界転生の話をしたので【主人公最強】について少し。
【主人公は超カッコよくて最強で賢い。どんな敵でも一瞬で倒せるし頭脳戦も完璧】
みたいなキャラクターが完成したとします。
こういったキャラクターが悪いわけではないのですが
【ピンチの演出が難しい】
という問題点を抱えます。
もちろん相手をもっと強くしたり、家族を人質に取られたり、お人好しすぎて騙されたり……いろいろなピンチは存在します。
しかし上記のように主人公が最強だと
【どれだけ敵を強くすればいいの?】
【なんで頭脳も完璧なのに人質なんて取られるの?】
【頭が良いのに騙されるの?】
という疑問も浮かんでしまいます。そして疑問が浮かぶと手が止まり、結局は完結しない……なんてことになるかもしれません。
ならば最初はシンプルに、
【腕っぷしは強いけど難しいことを考えるのは苦手】
【魔法は使えるけど肉体は弱い】
【最高の技術を持っているが、どうしても女性が苦手】
等の弱点を作ってしまうのが手っ取り早いのではないかと思います。
長々と書いてきましたが、物語を完結させるというこの創作論の趣旨とは、少しばかり外れた内容だったかもしれません。
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