第2話 剣豪、異世界に降り立つ

「ここが新たな世界か……」


我は立ち上がり、辺りを見渡す。


すると我の目の前に半透明な画面のようなものが現れる。


「何ぞ、この板は?」


そこには、名前や年齢などの情報が載っていた。


―名は白蓮 つるぎよわいは……21と、


50くらいは若返りおる


「……ん、何だ?この欄は」


そこには『剣術』『身体能力強化』など、様々な項目が並んでいた。


「これが女神が言うておった"すきる"というものか」


我はその画面に表示された"すきる"を一つ一つ確認していくことにした。


「まずは『剣術』から……」


スキルを発動すると、脳裏に剣術の型が浮かぶ。


その型に従って剣を振り抜いた。


―何だ……この感覚は?


まるで我の肉体が剣と一体になったような……何とも奇妙だ


「次は『身体能力強化』」


スキルを発動する。


すると、我の身体に力がってくるのが分かる。


「ふむ……中々、面白いのう」


―新しいことが多いが、景色が同じだとどうにも……


それから我は暫く森を歩き回り、その他の"すきる"について調べた。


そして分かったことがいくつかある。


1つ目は、このスキルには限界がなく、永遠に鍛えれば鍛えるほど強化されていくということ。


2つ目は、スキルを使えば使うほど肉体に負担がかかり、"精神力"がりきれていくということ。


そして3つ目……これは我だけなのやも知れんが、この『武甕槌神たけみかづち』と『不老』の相性が良いことだ。


武甕槌神たけみかづち』は使用すると得物えものに雷をまとわせ、攻撃時に激しいいかづちと共に放つ。


その放出時の火力がおかしいのだ。


試しに使ってみたが、160しゃく程遠くまで木が切り倒れるとは思わなんだ。


そんな桁外れのスキルには"呪い"が付いていた。


それは、使用するごと寿というもの。


文面だけでも恐ろしいが、そこで『不老』の出番である。


スキル『不老』の効果で、『武甕槌神たけみかづち』の"呪い"が相殺されていたのだ。


「何とも不思議というや、偶然というやに助かりき」


一通り確認し終えた我は再度森を歩き回った。


そして日が落ちた頃、近くの川で魚を捕り、火を起こした。


夜営の準備をしていると、ガサガサと茂みから物音がする。


我は腰にげてある刀に手をそっと置く。


「……何だ?」


音の方に顔を向けるとそこには、緑色の肌を持ちながら醜い顔をした小人のような生物がいた。


「――!誰だ、なんじは。人、ではなかろう」


その小人は、我に気づくといきなり襲い掛かって来た。


そして我は冷静に抜刀する。


雷霆らいてい流―紫雷」


紫色の鋭い光と共に、鮮血が舞った。


この流派は、我が師であり、でもある「上泉かみいずみ信綱のぶつな」様の「新陰流しんかげりゅう」をアレンジしたものだ。


無駄な放電をしないようにと、派生流派を昼の間に構築しておったのだ。


我は刀をさやに収めると小人の死体に近づいた。


「こやつは一体、何者だったのであろうか……」


そして触れようとした瞬間、突如


―!?


一瞬、目を疑ったが既に小人は消えていた。


「今のは一体……」


ふと見ると、1.3寸程で透明な石が落ちていた。


「何だ、これは……知らない物だが害は無さそうだから一応持っておくか」


そして我は、その紫の石を懐に入れた。


「そう言えば今気づいたが、こやつを倒したときに脳内で響いた声は何だったのであろうか……」


―たしか「"れべるあっぷ"しました」と聞こえたようだが……


すると、再び透明な板が現れた。


「……一体今度は何なのだ」


我は板に書かれている文字を読み、変化しているところが無いか確認した。


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