#3 タクローのそのあと

 俺は、ぼんやりとテレビを見ていた。俺が、何をしたってんだ。ただ妻の不倫に気づいて問い詰めただけじゃねえか。

 あのあと、会社を辞めて、交通量調査のバイトに励んでいる。都市部の家から在来線で向かったのは仕事場である田舎。のんびりとした街だから数え間違えるはずもなく――

 その正確さが表彰され、俺はイイ仕事を紹介された。年収が元に戻り、通勤先も家から近く、俺は1人ながら生活を満喫していた。俺は料理が下手なので、冷凍食品やコンビニ弁当で済ませている。

 

 その日は夜遅くなり、家の近所のコンビニは閉まっていた。代わりに仕事先に近いコンビニで弁当を買う。コンビニのレジに並んで、暗い顔の店員の名札に何げなく目をやると——


「オオキ トシユキ」


 エリナ。その言葉が口から出た。エリナ、お前はこんな人のために俺を捨てたんか。

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