【2話】英雄のお供

『俺が?異能力者....?』



「いや、間違いないっす!!ビリリってきたっすよ、物理的に。」



『まぁ確かにフルトマちょっと焦げたもんね....?』



こんな知らない異世界に転生しただけでもびっくりなのに、まさか自分にも異能力があったなんて、もっとびっくりな話だ。


 

『そういやフルトマ、【英雄】目指してんだっけ、お前は何の能力を持ってるの?』



単純な疑問の気持ちだった。


フルトマは下を向いて顔を合わせない。


あれ、もしかして俺はあまり聞いちゃいけないことを聞いてしまったのでは?と、一瞬複雑な気持ちになった。



「リューガさん.......自分、単体じゃ使えないやつなんす....。」


『単体...じゃ?複数だと使えるってこと?』


「ジブンの能力は【英雄のお供】なんすよ。ジブンが英雄の称号を得るには、誰かと供に英雄の称号を得ないといけないんす。」



フルトマは気まずそうにこっちを見てくる。


やめてくれ、コンプレックスに思ってそうなことを聞いてしまった俺も気まずい。



『いやぁ、なんかごめん。気にしてそうなことなのに、俺ってば全然気が使えてなくて。こんなんだからぁ転生前は友達ができなかったんかもなぁ。』


「いいや、言ってなかったジブンも落ち度があるっすよ。気にしないでください。」



十秒ほどの沈黙の時間は、俺達にとって数時間にも感じたような気がした。



『いやぁ、ごめん。こんなんでお詫びになるかわかんないし、何より俺がどんだけの力を持ってるのかもわかんないけどさ。俺で良ければ、俺のお供にならない?』


「えっ.........いっ、いいんすか!?!?こんなジブンよりもっと強くてもっとカッコイイお供なんて星の数ほど......はいないかもっすけど、この国に生えてるキノコの数はいるんすよ。こんな宇宙人で....、本当にリューガさんは後悔しないんすか。気持ちは嬉しいっす。でも、そんな優しい貴方には後悔してほしくないから.......。」


『ははっ、後悔しないよ。てか、優しいのはどっちだよ。人間界だったらゲロなんてかけられて皮膚焦がされたら話してくれるどころか絶交......いや、通報されちまうよ。』



フルトマはさっきの俯きが嘘のように顔を明るく上げた。



「ふつつか者ですが、よろしくお願いするっす!!!」



『こちらこそ!』




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『お供組んだとはいえ、何をしたらいいの?』



「ええっと、基本的には魔獣の討伐っす。武器は倒した魔獣から調達もできますし、買うこともできるっす。」



『武器か........』



「あ、でもリューガさんはまだ自分の力の値がわからないんすよね、だったら訓練場にいきませんか。武器も貸出っす。」



『おお、行こう。』




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でっかい、すんごくでかいスタジアムのような場所。


フルトマいわく訓練場、らしいけど。



『すっご!!こんなでかいんだな訓練場!!』



「リューガさん、武器はここから選べるっす。」



『ええ、いっぱいあるなぁ。どれにしようか。』



迷うほどにはある選択武器の数に心を弾ませているのもつかの間だった。



「邪魔だなぁ、みたことない奴だし。なんだこのチンチクリン気持ち悪い。」



『.............は?』



「何だぁ、盾つくんか俺に。俺はお前らちびっこ練習生どもとは違う。」



『訓練場は誰が使ってもいいルールらしいじゃねえか。お前みたいなやつがイキる場所なんか?違うだろ。』



「リューガさん、もうやめるっす.....ここはおとなしく引きましょうよ....。」



『俺はいつか英雄の称号を手に入れる。だけど、俺はお前みたいに下のやつにイキるようなだせえ輩にはなりたくねぇや。』



「は、なんだこの野郎。てめぇごときが英雄?笑わせんなよ。俺が今ここでその夢潰してやるよ。」







『........来いよ、だせぇ先輩さん。』


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