第3話
ドンドンドンッ!!
「ニクチー署だ!開けろ!」
待て待て、いきなり物騒すぎでしょ。
巻き込まれるのはごめんだが、居留守をして怪しまれるのもそれはまた御免被る。
少しため息をついてから重い足を玄関に向ける。
バッシャァアアアアアン!!
「は?!」
勢いよくチク…ニクチー署員が窓ガラスをスタントマンよろしく腕をクロスさせながら割って転がり込んできた。
どこぞの地上最強の親父じゃないんだから。やめなさいよ。
…そして意味もわからず取り押さえられる俺。
普通に痛い。
「ちょっと待てよ!俺は意味わかんねぇし何もやってねぇよ!」
ここは激しく吠えて無罪を主張したい。
ほんとに何もしてないからね。
そりゃ頭の中で男女の卑猥なお遊びを妄想はしたけども。
これは流石に納得がいかないところである。
「おい!そっちはどうだ!」
「ありました!例のモノです!」
お探しのものが見つかったらしい。
激しく嫌な予感がする。
「お前をこの場で逮捕する。現時刻15時46分...」
ふざけんじゃないよ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
まぁ、要約するとだ。
悪いやつらが怪しいモノをおまわりさんの目を盗んでやりとりするために一度違う名前で違う場所に荷物を送り、それをもう一度違う人間が送ることでカモフラージュしてたらしい。
そして、その経由する場所があの家だったと。
あのナイスバディなお姉さんもそいつらに雇われた人間だったらしい。
俺は完全にハメられたってわけね。
あんなわかりやすい怪しい依頼見たあとだと安心しきってたわ。
てかギルドさんよ、ちゃんと信用管理してくれよ。
どうなってんのよ。まじで。
「もうこんな臭い飯食いたくねぇよ…」
正直、飯は臭いことはない。
まぁ美味しくもないけども。
狭い部屋の中にトイレやらなんやらあるから臭い所以である。
飯を作るのも囚人だし。
何が入っててもおかしくはない…。
「…くそ。」
元いた世界なら逮捕されてもなんやかんやでこっちの主張できる期間があったり、そんな手続きもすぐ進むことないから2週間で囚人なんてありえないんだけどな。
囚人に堕ちた時点で誰も話なんか聞いてくれやしねぇ。
俺…どうなるんだろう…。
飯を口に運ぼうと下を向いた時、どこかで聞き覚えのある声が。
「あららー、またこんなことになっちゃってねぇー。何もしてないのにねぇ。」
顔を上げると確信に変わった、あいつだ、神様だ。
「来るの遅すぎだろ。早く助けに来いよ俺は何もしてねぇんだから。」
「そうだね、何もしてないねぇ。魔王退治しろっていったのにねぇ〜。」
どういう原理か分からんが、そいつはそこになにもないように鉄格子をすり抜けながら軽快に話し出す。
「魔王退治する条件だったの忘れちゃったのかな?」
「いや、忘れてはねぇけど…無理だろ俺には。勇者とかなんとかにお願いしたほうがどう考えても現実的じゃないのか。」
見た目は白いワンピースで幼女っぽい見た目をしてる。
麦わら帽子なんか被せたら映えそうなロングの髪。
ヘラヘラ喋りながら幼女は続ける。
「でもそれだと条件食い違っちゃうよね?契約を反故にするんだったらもうこんなことなっちゃったしもう一回転生してみる?今度は地獄に。」
急に怖い話になるじゃん。
「………。」
こんなヘボヘボスキルの俺がどう選ばれたってんだよ。
そんな天文学的な数字を何度もくぐり抜けて魔王様とやらを倒せなんて言うんじゃないだろうね君は。
「転生するなら今なんだけどなぁ」
俺は頭の中で幼女を罵倒しながら右手のスプーンで飯を運ぶ。
「今なら手っ取り早いし」
「…どういう意味だよ。」
幼女は俺に怪しげな笑みを向ける。
「だって。もう死んだじゃん、君。」
時が止まる。
「…は?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます