ドラゴンボール超 ブロリー

究極のドラゴンボールZ映画!!!!!


世界興収1億ドルですってよ、奥さん。

世界中にですね、いるわけですよ、ドラゴンボールに脳を灼かれた者たちが。

私が話を強調したい時に「!」を打ちたがるのも、ドラゴンボールの原作漫画の影響です。

死ぬまで鳥山ワールドの住人です。


その昔ですね。春休みとか夏休みになると「東映アニメフェア」なるプログラムピクチャーがあったんですよ。最初が「東映まんがまつり」で、ジャンプ作品が中心になってからが「アニメフェア」。3本立てぐらいで、看板が「ドラゴンボール」だったんです。


内容はほぼ同じです。

毎回、宇宙最強の戦士がやってきて、銀河ギリギリ全開バトル。

オープニングとか、TVのものをまんま使ってました。映画に出てこないキャラが出ててもへのへのカッパです。

そんなのが年に2、3本上映されていたわけです。


この「ドラゴンボール超 ブロリー」は、タイトルこそ「超」に変わっていますが、90年代の「ドラゴンボールZ」映画のフルリメイクと言っても過言ではありません。


どの辺が?


戦いこそが全て!!!!!


ブロリーの戦う理由:ない


普通はね、こんな設定、成立しないんです。

クソ映画にしかなりようがないんです。


それが大傑作になってしまうのが、ドラゴンボールという作品なんです。


なにしろ、主人公の悟空は「強ええ奴と戦いてえ」だけの男なので、敵にも強さ以外の要素を求めないんですよ。強ければいい。


ドラマなんて邪魔。


原作の魔神ブゥ編でですね。敵である魔神ブゥに「善い心」があるとわかる話があったんですよ。普通ならその展開をドラマとして活かしますよね。ブゥを倒してしまっていいのか的な葛藤に。ですが鳥山先生は、悟空との最終決戦の前にブゥを「善いブゥ」と「悪いブゥ」の2体に分けて、悟空は悪党のブゥとだけ戦えばいい構図にするわけです。目の前のブゥは悪党100%だから容赦無く倒していい、と。


ドラゴンボールに悩み要素とか葛藤要素とか必要ないんです。

出てくる敵は全部倒す。全力で倒す。

全身全霊全開バトルに邪魔な要素はとことん排除する。


ルールのややこしい能力系バトルもドラゴンボールには不要なものです。

パワーアップしたら髪の色が変わる!

エネルギー弾の光量がすごくなる!

めんどくさいことは考えなくていい!

力のある方が勝ち!


意識高い系マンガよ、サヨウナラ。

脳筋ワールドへようこそ。


戦闘時間も程よい長さです。

上映時間100分のうち、超絶バトルは後ろの半分ですが、これぐらいがいい。

これも90年代の「ドラゴンボールZ」映画を見てた人ならわかると思うのですが、敵の強さを表現したいがために悟空が苦戦する時間が長くなるというのも、ファンとしては嫌なんですよ。


ピンチになったらパワーアップ!


悟空が強くなったら、敵も強くなって、悟空がさらに強くなって、敵もさらに強くなる。

ネタが尽きた頃に、超特大のエネルギー弾(かめはめ波、元気玉)でぶっ飛ばす。


ね? 知能指数ゼロでしょ?


戦いの始まりは氷雪の極地ですが、途中から、確信犯的に地球であることを放棄します。

超絶パワーがぶつかり合った結果、大地は割れ、灼熱のマグマが噴出し、地獄絵図のような状況になり、ついには大地そのものが吹き飛び、異次元のような空間で激突することになりますが、クライマックスになると、何の説明もなく元の極地に戻ります。


あれ? 地獄絵図は?


客席にいる訓練されたZ戦士はそんな疑問は抱きません。

あー、面白かった、で終わりです。


エクスキューズ? なにそれ? うまいの?


原作にね、戦闘力2万程度のエネルギー波で地球が壊れちゃうって設定があるからね、その設定に囚われちゃうと三次元戦闘が自由に出来ないんですよ。

だからそれ、ほんの一瞬忘れてくださいね。


うんうん忘れちゃう!


ぐらいの共犯関係が作り手と受け手の間にあるのです。


その結果が興収1億ドル!!!!!


(ウィス様あたりが「悟空さんのために地球をパワーアップしておきましたよ」とか言ってくれないものか)


本作は究極のドラゴンボール・バトルが楽しめるアニメーション映画ですが、今、改めて見直してみますと、TVアニメでも「ブロリー」級の戦闘描写をしている作品がチラホラあって「ど、どこまでレベルを上げていくんだ、この作画インフレは!?(スカウターがボンっと爆発)」みたいな気持ちになる昨今です。

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