コードギアス 奪還のロゼ

ハッタリの効いた展開、世界観の丁寧な継承、旧キャラ多数登場のファンサービスなど、コードギアスらしさにこだわった秀作。ファンなら見て損はない。


が、コードギアスをガンダムみたいに永続化させるための一作として評価すると、まだ弱い、という感想になる。


作品単体として「ロゼ」はよくできている。


大切な人を取り戻すために身分を隠し、単身で世界に挑む姿はルルーシュそのものだ。しかしロゼにルルーシュほどのケレン味はない。


それだけのことなんだけれども、それだけのことが「ロゼ」のマイナス点として感じられた。


というのは、世界観を継承しつつ初代の呪縛を突破するには「すげえキャラ」の存在がとても重要になるからだ。


必須ではないが、すげえキャラを出すことができれば初代の呪縛を突破しやすくなる。


マクロスで言えば熱気バサラ、ガンダムで言えば東方不敗。


ふざけんな! と拒絶反応が出るぐらいのファーストインパクト。


ファンに「世界観をぶち壊すな!」と怒られるぐらいのキャラが出るぐらいのほうが、長い目で見るとシリーズのためになる。物語が面白ければ、世界観の壊れは許容されるからだ。


アキトやロゼは、ほどよくいいキャラの域を出ていなくて、ルルーシュに匹敵するほどの魅力を持ち得ていない。ルルーシュ抜きのコードギアスのアイデンティティを立てるまでには至っていない。


世界観をぶち壊すほどのキャラが出てきて、なおかつ物語が面白かったとき、残ったものがシリーズのアイデンティティになる「ガンダムの顔をしたロボが出てくればガンダム」みたいな。


「ギアス能力で戦えばコードギアス」「仮面の騎士が戦えばコードギアス」「KMFが出てくればコードギアス」なんでもいい。


次回作では、もっと大胆なチャレンジをして、こちらの度肝を抜いて欲しい。


ロゼが最終回で支払った代償を踏まえると、女版ルルーシュと言えるぐらいにダーティで悪逆なこともするキャラにしてもよかったように思った。

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