アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師
上田慎一郎監督の新作が詐欺師ものだって言うから、詐欺師チームvs巨悪富豪のコン・ゲームものかな、なんて想像しつつ見にいったわけですよ。
そしたらもう、見てびっくりの玉手箱。
こんな展開、予想外!
まさか、Netflixドラマ「地面師たち」とのネタ激突コン・ゲームが始まるとは!!
主人公たちが土地取引詐欺を仕掛けるわけですよ。
そう、地面師。
で、騙す相手を、木造の、でっかい庭のある家に連れて行くわけですね。
まんま「地面師たち」〜!!!!
もうそこから私の頭の中は、劇中の詐欺師チームvs巨悪富豪の攻防と、「アングリースクワッド」vs「地面師たち」の攻防の同時進行コン・ゲームです。
劇中でいくら主人公たちが勝利しようとも、攻防が「地面師たち」よりショボければ「アングリースクワッド」の敗北。
まさかまさかのネタかぶり。
あっちは夏公開で、こっちは秋。
先にやったもん勝ちのドラマの世界では、先手を「地面師たち」に取られた本作は圧倒的に不利なポジションです。同じぐらいの面白さなら先にやった「地面師たち」の勝ち。同じような手口でも「アングリースクワッド」の負け。
そしたら劇中で敵が「地面師」って言葉を出してきて、主人公チームが詐欺師であることを見抜いてしまう展開に!
「地面師たち」はまんまと正体を隠し通して詐欺に成功しますが、「アングリースクワッド」の敵は途中で主人公たちの正体に気づいて、反撃に出ようとするわけですね。
超えてる〜!!!!
「地面師たち」の地面師たちが上手くやれてた詐欺が「アングリースクワット」では通用しません。
「地面師たち」が先に公開されることを予期していたかのような、この筋書き!
面白いったらありゃしない!!
詐欺だとバレた詐欺を、どうやって成功に導くのか?
主人公たちは、いかにして巨悪富豪のさらに一枚上を行き、ヤツらから14億円を手にいれるのか!?
ありえないほどの神タイミング。
「地面師たち」の直後だからこその超絶面白さ!
なんという豪運!!
上田慎一郎監督は「もって」います!!!
普通に見ても面白い作品ですが、Netflixで「地面師たち」を見てから行くと、さらに楽しめます!
*
本作に元ネタ(韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師」)があることは、マイナスポイントとは考えません。演出が出来る監督は、オリジナルだろうと原作があろうと、いい映画が撮れます。なまじオリジナルにこだわって何年も新作が撮れなくなるより、カメラを止めないで欲しいです。
というか……
マ・ドンソク→内野聖陽に変換した段階で、上田監督の大勝利です!!
(巨大化する前のマ・ドンソクが拝めます)
「アングリースクワッド」は復讐劇であり、怒りの物語です。
脱税富豪(小澤征悦)の邪悪さをこれでもかと描きながら、見て見ぬ振りをして生きるのが「賢い」人生の過ごし方だと、何度も何度も主人公(内野聖陽)を揺さぶっていきます。
敵はあまりに強大で、正しいことをした人間が次々と潰されていく過程を目の当たりにすると、それでも戦おうとする登場人物に向かって「気持ちはわかる。だが……!」と言いたくなる時がきます。それでも立ち上がる主人公の姿に、彼の目に浮かぶ涙に、激しく心をつかまれるのです。
(そしてそれはもう一人の主人公(岡田将生)にも言えます。彼のひょうひょうとした仮面の裏側に隠された怒りが、もう一つの「アングリー」です)
本作でも、鮮やかな伏線回収、軽やかなカット割りなどの上田マジックを堪能することはできます。その上で描かれる人間ドラマの強さと熱さ! 「アングリースクワッド」は上田監督の才能がいかんなく発揮された、痛快かつエモーショナルなエンターテイメント作品です!!
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