メタモルフォーゼの縁側

ボーイズラブ漫画をきっかけに、出会うはずのない二人が出会い、年齢を超えた友情を育む。雪との交流はうららの頑なだった心を溶かし、前に進む力を与える。二人は離れ離れになるがやり取りは終わらない。素晴らしい友情物語。ガールミーツガール。


縁もゆかりもない、50も歳が離れた二人が結びつくきっかけがBLと言うアイデアが秀逸。


BL大好きおばあちゃんってアイデアだけでも面白く、恥ずかしい性癖をさらけ出した二人であれば、その年齢差を飛び越えることもできるという説得力になっている。


基本的には宮本信子演じるおばあちゃんが、芦田愛菜演じる少女の背中を押していく、彼女の成長を見守るという筋だが、成長したうららは助ける側に回るようになる。人の善性がひたすらに肯定されていくストーリーがいい


二人が大好きなBL漫画の作者が、うららの描いた同人漫画を読んで、漫画への情熱を取り戻すというサブストーリーがいい。


誰かに伝えるための創作物が、回り回って自分を救うと言うのは「ルックバック」に通じるものがある。うららの画力が拙いのも、大事なのは思いなんだ、ということを伝えるのに良かった。


何よりも、エンディングが無茶苦茶素晴らしい!!! 

なんでもない歌詞なんだけれど、うららと雪のデュエットだから胸に沁みるし、これだけで涙ぐめてしまう。


このエンディングの価値を十二分に味わうために2時間の映画があったと言ってもいいほどだ。

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