トランスフォーマー/ONE
いろんなエピソード0映画を見てきたけれど、これほど初見OKで、これまでのファンも唸らされる作品もない。
みっちりと詰まった伏線の配置と回収に、ハリウッド脚本工学の真髄を見せられた。全トランスフォーマー映画の中でもベスト級の傑作。
エピソード0映画は後付けで作られるので、なくてもいい話か、蛇足なものになりがちな傾向があるのだけれど、この作品はトランスフォーマーサーガのオリジンを丁寧に描いているので、広がり過ぎて訳のわからないことになっている実写版シリーズの入門編として見ることもできる。
辻褄合わせも上手いので、ファン目線で見ても大満足。
オプティマスのストーリーをリーダーシップに目覚めるまで、としたところで解釈一致。メガトロンが破壊の戦士に至る原動力に怒りを持ってきたところも上手い。
メガトロンは元々は善人だった、と言うのは個人的には悩ましいポイント。
「善き人間が闇堕ちして悪に目覚めた」というのはスーパーヴィランであるメガトロンを月並みな存在に落としかねない危うさを秘めている。
しかしオプティマスとの熱い友情を最初に置いたことで、オセロのように、これまでの二人の敵対エピソードがすべてエモく反転するアイデアは素晴らしい。
この作品は何よりも脚本の密度が濃い。
アクションを進めながら、ストーリーを進め、伏線の配置と回収をする。アクションの一つひとつに面白いものを見せようという意図を感じるし、ダレ場がない。止まっているシーンは止めるべきところで、それ以外は全てアクションシーン。検討の末に破棄されたアイデアが山のようにあるに違いない。
複数人でお話を作るハリウッドのマンパワーあってこその計算された密度だ。
傑作だった。このチームでトランスフォーマーサーガをリブートしてほしいと思うぐらいに。
そしてわたしはいまだにオプティマスのことをコンボイと書いてしまいそうになる。
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