ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ

シリーズ1作目と比較するとアクションの進化がすごい。


狂気の暗殺者を演じる池松壮亮の名演はもちろん、主役の二人が超がんばっている。1作目は「非力な女子高生でも銃を持てば最強」みたいなテンションだったのに、今作の二人はプロ級の格闘をする。ガン&カンフー。


1作目にあった地に足ついた生活感は今回ない。


ゆるゆるな日常を送るために人を殺す、というギャップで面白がらせ続けるのはマンネリだと思ったのか、池松壮亮演じる冬村かえでのキャラと対決させるには、そういうバックボーンは不要だと考えたのか。


本作は生きるか死ぬかの命の削りあいを楽しんでもらうために、社会風刺的な側面はバッサリ落としている。


冬村かえでに背景はない。


余計な感情移入をさせる余地を作らないことで、ただ殺し合う状況だけを現出させている。強いて言えばハンカチのくだりだろうか。まひろは受け取り、かえでは受け取らなかった。まひろにはちさとがいたが、かえでには肩を貸してくれる人がいなかった。


あるとしてもその程度で、見ていて心が重たくなる要素は一切排除している。ジョン・ウィックとかドラゴンボールのような気分で戦闘を楽しめる。「人殺しをやっているのに、なぜか部活ノリ、なぜかバイトノリ」というこのシリーズの空気感も「現実の非現実感」を現出させるのに、すごく役立っている。前田敦子が実にいい味を出していた。


ジョン・ウィックといえば、伊澤彩織のアクション女優としての成長が、今回の映画のベースになっているのかもしれないと思った。今回の映画は池松壮亮と伊澤彩織の(VFXに頼らない)本気アクションありきの内容。


個人的には、過去作のウケてる要素を無理して全部のせするのではなく、噛み合わせの悪そうなものはバッサリ落として、アクション映画に振り切ったところがとても良かった。次回作では二人の日常にフォーカスして欲しくもあるけれど、本作はこれが大正解。


阪元裕吾監督の才能に乾杯!


世界よ、これが(予算に頼らない)ジャパニーズガンアクションムービーだ!

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