第23話 元プロさん、事務所の大先輩とマッチングする。そして──

1試合目が終わると、俺たちはそのまま2試合目に入った。


武器編成は変わらず。というか、あの武器以外交換してないのだが。


「そういえば、さくちって可愛いよな」

『は?』

「ごめん本音が漏れた。なんかププラってもうすぐ大会あるらしいじゃん?」


ププラは他のゲームと比べても公式戦の回数がかなり少ない。

年に2、3回程度しか無いのだ。


理由は知らん。


そんな数少ない公式戦の1つが、今週末の土日──24日と25日に開催されるらしい。

これはツイッターで話題になっていたので俺も知っている。


:隙あらばガチ恋入るのさすがすぎるって

:はうっ!!

:さくちの……一文字罵倒!!

:おいお前らキモいって……さくちありがとう

:こ い つ ら

:そだよ〜もうすぐププラの大会

:今回はSTAR SKYの1期生が4人チームで出るんだっけ

:そうそう

:後輩が知らない定期

:たしかし、レイ以外の3人は知ってそうだけど

:アミアは後輩じゃない定期

:そうだったwwww

:もうアミアも3期生でいいだろ()


「へぇー、先輩たちが出るのか。それは応援しないとだな」

『マジで知らなかったんすか……』

『ばーかばーか。ふふっ』

「へあっっ…………サービスですか!?!?」

『黙ってください』

「好き」

『もう試合始まるぞお前ら! 茶番終わりだぜ!』

「『『アミア(さん)に……注意された!?!?』』」

『はっ倒すぞお前ら!?!?』


:もう草なんよ

:もうさ、もうさぁ…………w

:ふふっ、だって!!切り抜き師ィ!!!!

:任せろオォォッ!!!!!

:さくちが出た配信の切り抜きが多い理由がよく分かったわ……


:アミアが……先導を握っているぅ!?

:そんな甘い声で言われても……w

:声とセリフが一致しないランキング第1位

:可愛いですねアミアさん

:ア・ミ・ア!ア・ミ・ア!


『お前らうるせええええええ!!!』

「アミアうるさいぞ。敵の編成は……シューター2枚、さっきのと同じエクプロにリトラ4kか」

『ねぇなんで俺が責められてんの……?』

『先輩たちすごいっすよねー! ププラの大会初出場で本戦進出って……』

『とーっても練習したんでしょうね』

「その伸ばし方可愛いね」


:アミアもう無理だ

:お前は不遇キャラを確立したんだ……

:草


:いやでもマジでそうよな

:ププラで大会本戦行くレベルのVTuber、過去にいないんじゃないか?

:STAR SKYさすがよな

:どれだけ練習したんだか……

:配信にもしてないのがほんと尊敬できる

:Ray…………

:もう諦めろ()


:ちょうど、敵と編成同じだよなぁ1期生

:名前も一緒だな

:ん?

:え、待って???

:おいおいおい………

:えっえっ??? 本人たちでは????


俺は相手の編成が強そうだったこともありコメントを見ることなく、試合に集中する。


とりあえず俺とさくちは自陣を塗り進めつつ、アミアとあおちに前線を上げてもらう。


あの2人の対面力ならそうそう負けることはないはずだ。


────そう思っていたが。


『うっわマジで!?』


アミアの声が聞こえるとともに、画面上部に表示されているプレイヤーの生命のランプの内、アミアと敵のスナイパーのランプが同時に消えた。


相打ちである。


ププラはそのゲームの仕様上、数秒で再復活リスポーンすることができるが、問題はそこではなく────。


「アミアがスナイパー勝負で相打ち……?」


FLOWではないとはいえ、エイムの感覚は少ししか変わらないはず。


そして、アミアは一瞬で敵にエイムを合わせることフリックエイムが得意なのだ。


そんなアミアと、相打ち。


:うおおおおお!!!

:やっぱ相手本物だ!!

:アツすぎ!!!

:なんでこう……ドラマがあるんだよ!!!

:やべぇ……おもれぇ……!


「こりゃ面白い戦いになりそうだな──ッ!」


こんないい相手にニヤけてしまうのも、無理はないだろう?





《あとがき》


元プロのクリスマス特別SSが(間に合えば)近況ノートで公開されます。

12/31まで一般公開しますのでぜひぜひ。

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