カテナチオのつくり方、崩し方(no.4)

 これは大宮です。当時の大宮の崩し方を考えるヒントとして書いたものでした。


 当時の大宮は高木監督に率いられ、鉄壁の守備を誇っていました。確か試合は攻撃を封じられて、負けたはずです。その打開策として書いたのがこの文章です。


 いやー、稚拙だなぁ。


 ………


 2013−14だと思います。ユベントスの試合を掘り起こしてきました。前半しかまだみていません。ボヌッチ、ビダルは出ておらず、オグボンナが出ていて、中盤はピルロ、マルキージオ、ポグバの3人です。


 相手はボローニャ、第33節で、シーズンはほぼ終わりかけです。


 まずカテナチオの作り方、堅い守備の作り方です。気がついた守備の特徴を挙げていきます。自分はサッカー、あんまり詳しくないので、基本的なことを含めていると思います。


 ・基本として、利き足を封じること、自分の利き足で相手の利き足を封じる、ことがあります、当たり前か。

 右利きの選手が多いので、ユーベのほとんどの選手が相手の右前方にたち、相手のパスコースを封じにいきます。

 カバーがいないのか、交わされたり、後ろへ抜かれることは絶対に許されません。だからまず、ゴール方向の右の前に立つ、相手の利き足の右足の前に距離を保って立ちます。

 相手が背後を向く、弱いパスを横に出す、足元がおぼつかない、と見ると、そのとき初めてスプリントして前に出て自分の利き足で相手の利き足、もしくはボールにアプローチします。そして相手の背後に出ていく。


 ・ユーベのDFは左右両足のタッチでドリブルが少しはでき、ショートのパスなら逆足でも出せるようでした。

 MFは背後から追走して相手がスピードを落とした時に、死角(背中方向とか横から)から入って、足元のボールをさらうようなことをやっていました。

 ポグバは足が長く、リーチが長いのは得なんだな、とは思いました。

 マルキージオは立ったままで、一つ大きな価値のあるタックルを見せていました。ピンチで相手ボールをマイボールにするのは価値があるのだな、と思い知らされました。


 相手の利き足を自分の体を使ってどう封じるか。後ろへは抜かせない。背後を相手が向いたら詰めて奪う、くらいです、今回は。


 次に崩し方です。


 ・ジョビンコとジョレンテのペアでしたが、前後の関係になり前にジョビンコがいるときは、ジョビンコが裏抜けして戻しのクロス、逆に前にジョレンテがいるときは、ジョレンテがポストになって横パスやワンツーを仕掛けていました。


 もう一人はもう一人と連携する。


 ボローニャは徹底して人を中央に集め、スペースを消していました。ユーベは左右の斜め前方45度あたりから斜めにワン・ポスト(さっきの二人)へ向けてパスを出し、

 ①ワンポストがターンしてシュート

 ②ワンポストが横パス・もしくはワンツー

 していました。スルーするパターンもあるのかな。


 ワンポストに当てる、というパターンを作ることで、相手のDFが二人のコンビ、ジョビンコとジョレンテに集まります。そこで左右から中央へ当てるのではなく、左右のポイントから前に出す、左サイドのポイントから左サイド、右サイドのポイントから右サイドへ縦にスルーパスを出し、えぐって横パスなりシュートできるスペースやパターンができることになります。


 また左右のポイントを作れれば、そこからアーリークロスをあげることもできます。そしてニアかファーか、ファーから折り返しか、などで攻めて行くわけです。


 ・ユーベはピルロが自在に前線を操っていました。あまり意識してみていなかったのですが、前後では10mほどしか前に出ないパスなのですが、左右で見ると、20m、30m、時には逆サイドから反対サイドへ40mほどの長さの長いパスを、ピルロはスピードのあるボールで、ピタリと味方の足元につけていってました。


 中央に陣取った時は、左を攻めるか、右を攻めるか、味方の数的優位の状況を見て左と右のポイントにパスを割り振っていく。お、左右に振るな、と相手が油断した時には縦にロブ気味のパスやスルーパスを出して行く。


 蹴る球種は豊富でしたね、早かったり、スピンがかかっていたり、カーブしたり。他の選手より能力的に数mほど先に届くのですが、その数mが大きな違いになる。


 ピルロのどこが凄いんだろう、そう思っていましたが、味方のプレーを把握し、プレーを選択していくわけですね。シンプルに左右の数的優位を見分けて前線に攻撃のポイントを作ったり、前線で裏抜けしていく選手とポストになっている選手を観察し、選択する、プレーを構築する、パスを出す。全体の状況を把握して味方の拠点やポイントを前に出していく。相手から言えば、痛いところ、痛いところにボールを割り振ってこられる。味方の優位を作るプレー、ボランチ(舵)といわれるゆえんですか。


 キックやドリブルの正確さも必要ですが、世界レベルでやるには、長いパスを連続して続ける(繋いでいく)ことが必要に感じます。


 ゴール近くでは短いパスの連続でも、ワンツーなどのように逆に有効なのですが、前に攻撃の選手やポイントを進めるにはなるべく前、長い地点、自陣から遠くのポイントへボールを動かす方が優位になる。逆に言えば、自陣にポイントを近づけるプレーは一流では許されないと。だから躱されたり前へ進まれると、必死で選手は守備に戻るわけです。


 この試合ではピルロのパスや試合の作り方が面白くて、それを中心に見ましたが、バイタルエリアに2トップを置いて相手を密集させ、そこからワンツーなどで散らしていくのがカテナチオの崩し方だと思いました。


 相手が点を取れない分、味方も得点を取れない、そういうロースコアに持ち込みたいんだと思います、こういう相手は。だからごちゃごちゃしているところからねじ込む方法を考えなければいけないのかもしれません。


 いくつか技術的なことですが、感じたことを、記しておきます。


 ………


 ユーベのことを書いても何もならないのに、いや、考えが足らんかったですね。


 ユーベが好きだったのと、東京ヴェルディのために、ということで、当時のビデオを見て、考えていたのだと思います。


 いや、懐かしい。

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