第41話、大都会のエーテルギア

「zzz」「あれ?瑞樹、まだ寝てるの?」『にゃ』「修さんの散歩も終わったのに、ね」「修さん、トイレからマーキングまで躾が完璧なのはなぜ?」「瑞樹が話して説明しているからとか?」「ほんに、猫?」『に"ゃ!』


寝ている間に修さんはすっかりみんなと仲良くなっていた。プラムのお兄さんも修さんぐらい理解のある猫なら迎えたいと言い始め、少し困った気がするが、この世界のNNNに、きっと修さんが伝えておいてくれるだろう。


「おおお!?海?」「ここは内海だから、遠くに行かなければ静かなんだ」「瑞樹、泳げる?」「人並みには」「瑞樹、歌も上手いよね」「どうでしょう?」「翻訳機なしの歌、よくわからないけど、かっこよかったよ」「ちょっと恥ずかしいですが、ありがとう」


ここから20キロ先には海からのエーテルを貯蔵するコンビナートがあり、液体やバッテリーで輸送しているらしい。大都会らしく、チェーン店もあれば無人バスなどクロックタウンでは見られないものもたくさんある。


「あ、祐二だ!」


街頭3Dホログラムで祐二が再現されていた。バス停に我々が近づくと、我々が発散させるエーテルを受け、バス停自らが空気中にホログラムを再現する。


あたかもバス停が劇の中の一部になっており、バス待ちの時間、映画の中に入り込めるという仕掛けが施されていた。


「見てみて!祐二とキスしてみた!」「は?」


ホログラムの祐二とキスした写真。プラムは面白がっているが、微妙にエドの機嫌が悪くなる。さて『にゃ〜』さすが「いい男」、実は中身はエーテルギアじゃ、、、?


修さんのチャックを探そうとお腹を見たが、やはりない。ちょっとぽんぽこなお腹に、癒されるだけだった。


「これは?」「え?とんかつラーメンだけど?」「瑞樹、とんかつ薄い派?」「え?いや、そもそも知らないかな」『にゃ?』「この子、静かでいいね。ほら、ご飯炊き立てだから食べるかい?」『にゃ』「なに修さん、いただいているんですか!?」「かわいいわ、この子。よければ、これ、チャーシューの端肉だけど、どうぞ」「あ、すいません。修さん、お肉頂きました」『にゃ〜』「修さん、人気過ぎない?」「イケ猫すぎでしょ、あの猫」


街中を散策してお昼ご飯、我々も炊き立てのご飯を追加で頂き、カツ丼とラーメンを同時に食べた。修さんは食べすぎだ。明日から運動させよう。


「修さんなら朝から散歩したりしてるよ」「むむ」「あ、はは」


プラムの家に戻るためのバス待ちにて。今回のホログラムはかわいい猫で、修さんはホログラムに向かって、いい顔をしていた。

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