第40話、夏休みの大都会

「瑞樹、どこ〜!」『にゃ〜!!』「え?」「あ、いた!」「なんでそっちに?」「地図通りですが?」「これ、どこの地図?」「これ、あふみ海の地図だ」「瑞樹、行きたいの?」「あれ?地図間違えました」


この修さんの呆れた顔は、翻訳機がなくてもわかります。


大都会の中央駅で斜向かいさんと別れたあと、そのままプラムの本宅にエドとお邪魔した。プラムのお家は前世でいえば客家のようで緩くつながってはいるが、いろいろあってプラムのお家はクロックタウンにあるらしい。


「はじめまして、橘瑞樹です」「あら、はじめまして瑞樹さん!ようこそ!」


プラムは11人兄弟の末っ子であり、上の兄弟が巣立ったあと、この本宅は長男が在住しているそうだ。結構な広さがある庭のバンガローは元々兄弟たちの秘密基地だったらしい。


今回はこちらをお借りして2泊3日で夏休みを楽しむ予定だった。


見たこともない高層ビルが壁のように連なる反面、広い道路には路面を浮かぶ無人エーテル列車が走り、我々は番号を調べて飛び乗り、また目的地近くで飛び乗りる。


街中には水路が張り巡らされ、動く歩道や大型スーパーでなお肉や野菜、魚と色鮮やかな食材。空を見上げれば蒸気船。港には大型船やエーテルコンビナートがあるらしい。


「これが大都会」「にゃ、いつ来てもどえらいこっちゃな」


初日、プラムのお家のバンガロー横でバーベキューをして、キャンプファイヤーする予定は、気がついたらもうだいぶ時間が押していた。


慌てて帰れば、もう準備は出来ていた。早速開始。しかし、火を使うからお兄さんも参加してのバーベキューは「壮絶」だった。


「この肉、育ててたの!」「やっちもないな、な?エド」「早いもの勝ちぞい」「あ、プラム。貝が焼けましたよ?」「う、う。にいちゃん、エド、ビーフンなし!」「おいまて、わかった悪かったよ。」


なんだかんだで材料は買いすぎたが、これから二日間かけてゆっくり食べ切れば良い。


修さんもわざわざベッドを作ってもらい、火を怖がることもなく、裂いた肉や魚を食べて、エドお手製の修さん用デザートのゼリーも食べて寝ている。


たった5人(含む、猫)なのに、とても騒がしい、大都会の夜の空は、夏らしく明るい空だった。

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