第39話、おでかけ
『にゃ』『pppp....』「う、うん?」『ワン!!』「え?」『にゃ』「うん?あ、そうた君、おはよう?」『ワン!』「あ、修さん、おはようございます。そうでした、今日は起きないと」『にゃ』
せっかくの夏休み。せめて近場は出掛けようと大家さんに話したところ、山岳超えて南には海沿いに大都会があるそうで、そこをおすすめされた。
ちょうど斜向かいさんもそうた君と大都会に用があるそうで途中まで一緒に行くことになった。蒸気列車で大体80分ぐらいなので、動物と一緒に利用可能な指定席を取る。
「あ、修さん、これ食べます?」『にゃ?』
ケージに全く入ってくれない修さんは椅子の上にクッション引いて丸まっている。このお猫様は、研究所にいつき、いつの間にか私の家にいる破天荒なふてぶて猫だが、困ってことに魅力あふれる方で、邪険にし切れない。
「いや、修さん、まじイケメンですね」『にゃ』『ワン』「そうた君は本当にお利口ですね」「大昔の偉人の名前を頂きました。とても素敵で誰よりも賢く、好奇心旺盛で魅力的な方の名前をいただいたので、そうたも、本当に賢く、優しい子になりました。たぶん、私より賢いです」
あはは、と言って笑う斜向かいさんはワラビーの獣人だ。この世界には確率により獣人になるらしいが、基礎構造は人に近いらしい。エーテル的には人よりも強いというが、ぱっと見わかる獣人さんもいれば、言われるまでわからない人もいる。
『くうん?』『くあ!』「あ、修さん?」『にゃ!』「あ、ごめんね、そうた君。修さんしっぽはダメだって」『ワン』「修さん、抱いても?」『んー』
野郎に抱かれたくはないらしいけど、暴れるのも大人気ない。そんな感じでそっと抱きしめられてます。そうた君は私の膝でわふわふお喋りしてくれた。
「へぇ」そうた君が言うには悪いことをする人もクロックタウンにはいっぱいいるらしいですが、そういう思念はエーテルを汚すため大体わかるとのこと。斜向かいさんに聞いてみれば、エーテルチェッカーがあり、悪くなったら法律で休みや入院、転地療法になるという。ブラック企業は法人格剥奪、刑法犯と手厳しい処罰。
「我々、というのか、エーテル質が悪化すると魔物になります。エーテル中毒の魔物と違って、我々、人だけがなる「虹色の魔物」です。この世界においては、虹色の魔物になって討伐されることほど不名誉はないんですよ」
それは知らなかった。虹色の魔物の意味について、今までの本には書いていなかった。おそらく差別的であり、残したくないことなんだろう。
『お待たせしました』
自動配膳がやってきた。中身はわんにゃんでも食べれるケーキと水。温かい紅茶と小さな紅茶リキュール。頼んだ覚えはない。
『ワン!』「修さんはアレルギーありますか?」「ないです」『にゃ?』「そうたはこの蒸気列車内限定のケーキセットが好きでして」『ワン』「よければお付き合いください」「ありがとうございます」『ワン』「おうち取り寄せだと食べないんですよ」「あるあるですね」
「じゃ、素敵な夏休みに」「はい。素敵な夏休みに」『ワ『カンパーイ』ゃ』
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