第14話、青いゆらめき

『にゃ、にゃ?』「うん?どうした?」『うにゅ?』「なるほど」「橘さん、どうしました?」『にゃ』


窓の外は温かな日差しが高い塔を照らしている。この街で正式に住民登録を済ませてから数日が経ち、「街の一員として役に立ちたい」という気持ちが日に日に強まっている。


『にゃー』

「ありがとう、ですか」

「小動物用のソフト、入れてたんですか?」

「ええ。これで彼らの話もなんとなく理解できます。」「‥‥あまり精度が期待できないことは?」「知ってます」


昨日、魔物付きになっていた猫の飼い主が、研究所にお礼に来てくれた。その言葉に嬉しくなるが、もしもっと探しやすい道具があればと考えずにはいられなかった。


前世で飼っていた犬や猫が迷子になったときのことを思い出し、私はそんな探知機能を持つギアが作れないかと考え、研究所に向かった。


リリーにその考えを話すと、彼女は小さな宝石を手渡してくれた。それは「青いバラ」のエーテルを蓄えたバッテリーだという。


「青いバラのエーテルバッテリーなら、少量で安定した出力が可能です。橘さんのギアはとても効率が良いので、この量でも十分に探知機能を実用化できると思います」


宝石のように輝く青い光を見つめると、エーテルが秘める神秘的な力に心が踊った。このエネルギーを使って、猫や魔物探知に役立つギアが作れるかもしれない。


「探知機能の一環として、可聴音と非可聴音(超音波)の2種類の音を出す設定にしたらどうだろう?可聴音を使えば周囲への警告に、探索時の密度やエーテル濃度の変化を静かに探知できるように」


リリーはその提案に驚きながらも、賛同してくれた。


「素晴らしいアイデアです。可聴音は音で警告を出し、超音波はエーテルの濃度を探知するために動物たちを刺激せずに使えますね」


こうして、リリーと共にギアの改造作業に取り掛かった。青いバラのエーテルバッテリーをギアに組み込み、エーテルの流れが可聴音と非可聴音(超音波)で反応するように調整していく。


「エーテルの濃い場所では空気の密度も変わりやすいので、超音波の探知モードで周囲の密度変化を確認しつつ、異常があれば可聴音で警告を出す仕組みにすれば、魔物の発見に役立ちそうです」


そう言いながらリリーが微調整を行ってくれ、私はエーテルの流れを整えつつ音が安定して出力されるように配線を工夫した。


青いバラのエーテルが輝き、ギアの内部が青く光る。手の中で、改造されたギアが新たな役割を持つ姿に、この街で自分が役立てる喜びを感じていた。


『にゃー』「あ、いつのまに?」

「すいません、扉開けた猫が、ってああ!」

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