第3話 スキル
俺が配属されてから1週間が過ぎた。その間も特になんも変わらない。仕事を与えられては自室で終わらせ、空いた時間は鍛錬、もしくはそのまま部屋で色々な本を読む。
そんな日々を過ごしている俺は、今日も訓練場へ足を運ぶ。
「今日はちょっと遅くなったな。ん?」
訓練場の明かりがついている。昨日は確か、最後にあの2人が使ってた筈。もしかして明かりを消し忘れたのか? まぁ、そう言う日もあるか。俺は訓練場の中に入る。
「やっほー」
抑揚のない声。腰に剣を携えた銀色の髪の女性、リゼが俺に話しかけて来た。
「……出直します」
「なんで……?」
「他意はないです。ただ、俺がいるとディアナ副隊長の邪魔になると判断しただけです」
「じゃあ大丈夫。私は気にしないから」
気にしないなら、別に良いか。俺は副隊長から少し離れた所で剣を振る。
「………」
何故か、めっちゃ見られてる。一体なんでなんだ? あんたもここに来たなら鍛錬しろよ。
「……」
「……あの、なにか俺に言いたいことがあるんですか?」
俺は落ち着かないので聞くことにした。このまま集中を欠いたままじゃ意味がない。
「君、今日は剣なんだね」
「……それはどういう意味ですか?」
「一昨日はあの人形に穴が空いてた。でもその前は斬ったような傷、その前はまた風穴が空いてた」
まじか。俺がここを出る時は大体この人らが入ってくる時だったからすっかり直すのを忘れていた。とんでもない凡ミスだ。
「けど、1つだけ疑問があるの」
「なんですか?」
「どうして武器を1つに絞らないの? 中途半端にいろんな武器を使うより1つを極めた方が強い。何か理由でもあるの?」
それは分からないだろ。とか言っても面倒ことになりそうなのでやめておく。俺はしばらく考えるが特に良い案が思いつかなかった。
「それは俺の”スキル”が関係してるからですね」
「それって、どんなスキルなの? 見てみたい」
「……分かりました」
俺が手をかざすと、手のひらから黒い炎が生まれる。そしてその炎が消える頃、俺の手には白い弓が握られていた。
「これが俺のスキルです」
「……それだけ?」
「あとは剣に変えたりすることも出来ます」
白い弓は消え、代わりに黒い剣になった。俺が出来るのはここまでだ。
「つまり、君は弓と剣を自在に変えたり出来るスキルってこと?」
「……そう、ですね」
厳密には違うが訂正はしない。俺はまだ、こいつらのことは信用していない。そんな奴らに自分のスキルを教えるなんてことをするはずがない。
「……そうなんだ」
「はい。では、俺は自分の鍛錬に戻らせて貰います」
俺は黒い剣を消して持って来た剣を拾って振ろうとする。
「待って」
呼び止められた。振り向くとリゼは何故か腰に装備していた剣を抜いている。
「なんでしょうか?」
「手合わせ。どうせなら貴方の力を正確に知っておきたい」
ふむ、これは断る理由がないな。この人の実力も知れる。この人はどんなスキルを持ってるんだろうか? 気になるな。
「分かりました。謹んでお受け致します」
俺は剣を構える。なんでこの部隊がこんなに特別扱いされるのかも分かるかもしれないな。
俺が配属されたところは女性しかいない部隊でした クククランダ @kukukuranda
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