第2話 こん時お前手の内隠してやがったな。
「じゃあ行こっか!」
「おぉわかった×½+√16」
「随分疲れてるように見えるけど…大丈夫?」
最初なので置いていかれないよう、真面目に授業を聞いていたつもりだが、レベルが高すぎて何を言っているか全然分からなかった。ビブン・セキブンさんとは初対面なんだ。まずは趣味とか聞くところから始めたい。
「あはは…この高校レベル高いもんね、僕でもたまに分からなくなるもん。」
たまになのか。
ちょっとこの先やって行けるか心配になってくる。
俺たちが廊下を歩きながらそんな与太話をしていると、追いかけて来たらしい1人のクラスメイトが後ろから話しかけた。
「すいません、ちょっといいですか?転校生さん」
振り返ると羊のヘアピンが茶髪のゆるふわウェーブにつけられた、どことなくふわふわした感じの美少女。優しそうな目で俺らを見る。
「あ、あ、あ、
水月は度肝を抜かれた様子だ。…がしかし、たしかに俺も突然後ろからこんな美少女に話しかけられたらばっちり腰を抜かすだろうけど、顔を見知っているはずのお前がそんなに驚くものなのか…?
「えっと、転校生さんに校内を案内するんですよね?その、厚かましいかもしれないんですけど私もついていっていいですか?転校生さんとは仲良くしたいんです」
「え、お、俺と?え?なんで?」
「…だめ、ですか?」
雨井は俺の袖を掴み上目遣いでお願いしてくる。
「…どうする?榎浪くん?」
「いや、まぁだめじゃな、いけど。」
俺は柄にもなく吃ってちょっと童貞丸出しだが、しかし無理もないだろ?転校していきなりクラスの美少女に仲良くなりたいと言われ、袖を掴まれる。これに動揺しない人間などどこにいる?こんなラブコメ的展開がいざ現実にあったら人は動けなくなるものなのだ。あぁなるほど、これが哲学か。
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