13,オナ禁
よくポルノ断ちを行う際には、並行して自慰を禁止する、所謂オナ禁が行われています。では、ポルノ断ちにオナ禁は必須か否かと問われると、実際には、なんとも言えません。
ただし、一般的なポルノ依存症患者においては、自慰の意図がポルノ視聴のトリガーとなっていることが多いです。試しにポルノを視聴することなく、またポルノのことを想像することなく自慰行為を行ってみれば分かりますが、そもそもポルノ依存症患者ではポルノ無しで自慰行為が出来ません。つまり、自慰行為そのものではなく、自慰行為をしようという意図自体が、ポルノ視聴のトリガーとなっている可能性が考えられます。そのため、このトリガーを排除するためにオナ禁は有効であると言えるでしょう。
けれども、過度なオナ禁は前立腺がんのリスクを高めるという(少し疑わしい)研究結果もあり、また定期的に射精をしないと、廃用性の萎縮が起こり、十分な勃起や射精が得られなくなる、また精子の質が落ちる、といった俗説もあります。よって、一概にオナ禁が良いものとは言えないのですが、報酬系の学習がおよそ二ヶ月程を以て消失することから、二ヶ月程度のオナ禁は行っても、特に問題は無いとは思われます。長い人生の中の二ヶ月です。恐らく大丈夫でしょう。しかし、上記のリスクを鑑みて、各自の責任を以て行われるべきであると、述べなければなりません。
また、オナ禁を対策として行われる際に最も注意していただきたいのは、これをポルノ依存症克服を目的としてのみ行うということです。よくオナ禁は男磨き等の自己啓発や自己改善を目的とした手段として用いられます。その中には、オナ禁に筋力増強効果や、実に怪しいモテ効果、フェロモン効果等を期待した言説が多く含まれます。本稿第2章においても述べましたが、オナ禁にこれらの効果を期待するのは、絶対にやめてください。そもそも、自慰をしないだけで、これらの効果が得られる訳もないのです。無論、得られればそれで良いのでしょうが。過ぎた期待は、大きな不満を呼び、最終的に我々にとって大敵であるストレスを喚起します。したがって、オナ禁を行う際には、どうか、トリガーを除去するということのみを目的として行う様にしてください。決してオナ禁で自己啓発を掲げている情報商材屋にはハマらないように。それにハマったら最後、ポルノ依存症の悪循環がしたり顔で、貴方を待っています。
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